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三菱重工、苦境の造船事業の活路・大型客船、なぜ特損で誤算?海外勢対抗への「高い勉強代」

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 客船は新興国などの景気動向に左右されて需要が大きく変動する汎用貨物船に比べ、需要が安定しているといわれている。現にクルーズ社も、16年までに8隻の大型豪華客船を追加発注の計画とみられており、クルーズ社の1番船受注を確保すれば、追加受注も期待でき、造船事業の安定化につながる。

 また、汎用貨物船の受注金額は1隻当たり数十億円が相場なのに対して、LNG運搬船は200億円、大型豪華客船は最低でも500億円を下らない。一方、汎用貨物船の部品点数が約25万点に対し、大型豪華客船の部品点数は約1200万点にも上る。

 高度な技術が必要なため、造船業の歴史が浅い中韓勢に大型豪華客船を建造する能力はなく、競争相手は独マイヤー、伊フィンカンチェリなど特定の欧州造船所に限られる。同社としては、競合が少ない市場で、しかも10%以上の高い利益率が得られる大型豪華客船は、戦略的にも魅力的だった。

 この新事業がスタートした矢先の特損発生。なお、1番船は今年5月3日に無事進水済みであり、現在は来年3月の引き渡しに向け、客船の機能を装備するための艤装工事中だ。

 株式市場では「今回の巨額特損により、三菱重工は造船事業戦略の見直しをせざるを得ない」との声が強い。だが、前出アナリストは「641億円は確かに痛い冗費だが、捨て金にはならない。転んでもただでは起きないではないが、これを教訓に『中韓勢が容易に参入できない障壁構築』の学習費と、積極的に捉えるべきだろう」と事態を静観している。

 成長戦略に誤算はつきもの。誤算をいかに迅速に修正し、成長戦略を軌道に乗せられるか。同社の造船事業は今、その力を問われている。
(文=福井晋/フリーライター)

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