ビジネスジャーナル > 社会ニュース > ワーキングクラスの被抑圧者たちニュース > 路上喫煙違反者、過料取消求め勝訴  > 2ページ目
NEW
闘うジャーナリスト・佐々木奎一がゆく! ワーキングクラスの被抑圧者たち 第19回

路上喫煙違反者、過料取り消し求め横浜市を提訴し勝訴、二審逆転、最高裁へ

文=佐々木奎一/ジャーナリスト
【この記事のキーワード】, ,

 これに対し行政側は、「喫煙禁止の看板は西島氏から見えるところに位置していた」と、処分の妥当性を主張している。

 審理は進み今年1月22日、一審判決が下った。判決文によると、西島氏がパルナード通りに進入した地点からは、喫煙禁止の看板や路面マークは「容易に認識することはできない」と判断。

 また、横浜市のポイ捨て・喫煙禁止条例による2000円の過料処分については、「制裁を加えることにより喫煙を防止し、快適な都市環境の秩序を維持することが目的である」と妥当性を認めつつ、「一方、我が国において、いわゆる路上喫煙が禁止されている地域は現在のところ、極めて限られているから、そこが喫煙禁止地区であることを知らなかったことに過失もない」との見解を示している。

 喫煙禁止を知らずに喫煙をしていた人に対し過料処分をしたとしても、被処分者としては、喫煙禁止地区と認識し得なかった以上、単に『運が悪かった』と受け止めるだけであり、「今後は喫煙禁止地区において喫煙をしないようにしよう」という動機付けにはつながらず、条例の目的とする抑止効果を期待することはできない。よって、「路上喫煙禁止区域内で喫煙した人に対して、無条件に過料処分とすることができるとする被告の主張は不合理であり、採用することはできない」と断じ、横浜市と神奈川県の下した処分は「違法である」との判決が下った。この事件の裁判長は横浜地裁民事第1部の佐村浩之氏だった。

●横浜市側は控訴

 この判決を受け、横浜市は控訴した。同市が提出した控訴理由書によると、一審判決で路上喫煙が禁止されている地域は極めて限られているとしたことについて、国が02年に制定した「健康増進法」25条には「受動喫煙の防止」が明記されており、路上喫煙の危険性は社会で認知されていると反論。さらに、受動喫煙が健康被害をもたらすだけではなく、歩行喫煙をすれば、すれ違う人に火傷や服の焼け焦げなどのリスクがあり、特に1994年1月9日にJR東日本船橋駅構内で、歩行喫煙をしていた男の持つタバコの火が幼女の瞳に当たり緊急搬送された事件以来、危険性は広く知られていると述べ、処分の妥当性を訴えた。

 日本小児科学会などは、05年12月6日、「子どものための無煙社会推進宣言」を採択し、「路上喫煙地域の拡大を推進する」と表明。こうして全国各地で路上喫煙禁止のうねりが起き、いまや全国20の政令指定都市のうち、仙台を除く19市と都内23区の特別区すべてで、路上喫煙を規制する条例ができており、原告の西島氏の住む東京都某市でも、市全域を歩行喫煙の禁止区域としている。

路上喫煙違反者、過料取り消し求め横浜市を提訴し勝訴、二審逆転、最高裁へのページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!