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坂口孝則「ダマされないための“儲けのカラクリ”」 第30回

明石家さんま、“真面目な実務家”は、なぜトップに君臨し続けられる?語録から読み解く

文=坂口孝則/購買・調達コンサルタント、未来調達研究所株式会社取締役
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お笑い「だけ」に懸ける気概

 今回、少ないとはいえ、あらためて活字メディアでさんまさんの発言を読み返してみると、さんまさんのお笑い「だけ」に懸ける気概に私は圧倒されてしまった。

「苦労話とか愚痴ってキライです。だから、演歌歌手のコンサートなんて大キライ」
「東京の芸人はうけへんかったら逃げるけど、わしらは何をしても笑わしますから」
(共に「EX大衆」<2013年11月号/双葉社>より)

 ここにはお笑いだけに特化したある種の清々しさがあるし、同種の内容をさんまさんは繰り返している。よくいえば、「理想なき実務家」というのだろうか。ノンポリとは、かつて侮蔑の意味で使われていた。しかし、いまでは不必要な政治思想を持つよりも、どんな手段であっても現実の問題を解決するリアルな行動力が求められる。さんまさんは笑いを生むことだけを目的とするリアリストな側面があったように思う。

 筆者が感動するのは、さんまさんが一貫して高尚なるお笑い論を語らないことだ。これだけのベテランになれば、高説を述べてもよさそうなところを、である。

「よく、どんな笑いを目指しますかと聞かれますが、“笑いを目指す”という答えだけのものですから、“どんな”というのはないです。ピッチャーに例えたら、いろんな球種を使って打ち取りたい。シンカーばっかり投げたらヒジ痛めますからね。そういうところはTV的に、茶の間をターゲットに、こっちはこう言うたほうが個人的には好きだけれども、TV的にはこう言う…というのは常にありますし」(「レプリーク」<00年9月号/阪急コミュニケーションズ>より)

 さんまさんは、伝統芸能ではなくテレビやラジオといった比較的新しいメディアを好んだ。そこにもさんまさんの戦略があった。

「うちの師匠(笑福亭松之助)が『さんま、雑談を芸に出来たらすごいぞ』と口癖のようにおっしゃってて、オレはいつかそれをやってやろうと思い続けてたんですね」
「やっぱり公開だとどうしても目の前のお客さんの笑いを取る方に行ってしまいますよね。オレはそれよりはラジオの向こうにいるお客さんの笑いを取りたかった」
(共に「クイック・ジャパン」<05年12月号/太田出版>)

 このお笑いに懸ける純粋さは、徹底していた。例えば、お笑いもやりつつ、シリアスな映画に挑戦することも考えられるだろうし、感動的な番組に携わることも考えられるだろう。しかし、映画の監督業については明確に断り「テレビで生きていこうと思っている」と答え、かつ、芸人がお涙ちょうだい番組で注目を集める手法からは距離を置いていた。

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