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性同一性障害者を苦しめる、“虐待”と困難な日常 性別適合手術の実態を経験者に聞く

文=江端智一
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–そのことを知って、どのような気持ちになりましたか?

マミさん 「やっぱり」という感じでした。そして、同じような人が世の中にいることに、かなり安心感を覚えました。

–海外で手術治療をされたそうですが、その前には何かされていましたか?

マミさん 国内でまず、ホルモン療法などを受けていました。戸籍変更には医師の診断書も必要になるからです。

–マミさんが、手術治療を決意されるに至るまでの経緯を教えてください。

マミさん 最も気になっていたことは、きょうだいがこれから結婚する時に問題になるか心配になりました。しかし漠然と、このことが影響することはないだろうと思い、まず親に報告しました。親に言えた時点で、ほんとにすっきりしました。あとはどうなってもいいと思いました。完全に言いたいことが言えるか自信がなかったので、手紙にも書いておきました。その後、会社の人にも報告しました。

–手術治療の概要を教えてください。

マミさん 手術治療はタイの病院で、全身麻酔をかけて行われました。「目が覚めたら、すべて終わっているよ」と言われた通り、実際に、手術中のことは何も覚えていません。手術室には、医師1人と看護師2人がいたような気がします。手術治療後の入院は1週間ぐらいで、あとは近所のホテルに滞在していました。3週間後、仕事に復帰する予定でしたので、リハビリとか、栄養補給など必死に取り組みました。費用は前金60万、後金60万円くらいでした。手術治療は1回で済みました。

–手術治療後に注意していることはありますか?

マミさん 手術治療後にもホルモン投与を続ける必要があると聞いていたのですが、現在、ホルモン治療はしておりません。しかし、ホルモンの影響かわかりませんが貧血の症状が出てきたので、鉄分を服用しております。

–手術治療前と手術治療後で、何か大きく変わったと感じられたことはありましたか?

マミさん かわいい女性になろうと思っていましたが、今はたくましく生きております。

–マミさんの現在のお気持ちについて教えてください。

マミさん 本当に、手術治療してよかったと思います。ちょうど、渡航直前にタイの情勢が変わったり、医師2人の紹介がないと性別適合手術を受けられなくなるなどの制度変更があったりと、ばたばたしましたが、手術を後悔したことは一度もありません。今は本当に幸せです。「逆に、あの時、手術を受けていなかったら」と考えると怖いです。

–性同一性障害で苦しんでいる人に、アドバイスをお願いします。

マミさん 現時点において、手術治療が性同一性障害治療の最後の手段となります。もし手術治療を考えているのであれば、ホルモン治療は、そのパイプライン的なものになるのだろうと考えております。しかし、ホルモン治療と異なり、手術治療に対する周りの理解は得られにくいのが実情です。精神的にも苦しい状態なのに、家族に罵倒されました。その苦境に負けないように、自分自身で、手術治療までのタイムラインを考えておかれるのもいいと思います。

–子どもは欲しいと考えていますか?

マミさん 現在、恋愛中の人はいませんが、自分の子どもが欲しいという思いはずっと持っています。最近は、シングルマザーでもいいかな、という気持ちになっています。

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