さらに番組では、笹井氏と小保方氏が交わしたという私的なメールの文面まで公開され、しかも声優によるアフレコまで付けていた。笹井氏の時候の挨拶と小保方氏を励ます内容を読み上げる男性声優。小保方氏の返信メールを元気よく読み上げる女性声優。これが「検証」となんの関係があるのだろうか。

 私信であるメールを、声優の演出付きで明らかにした意図はなんだったのか。この場面が流れた瞬間のインターネット上のツイートを観察したが、多くの視聴者が、笹井氏と小保方氏は“ただならぬ関係”だったと推測していたことがわかった。言うまでもないが、私信の公開は法令違反である。調査資料として秘匿すべき責務を負っている調査委員会からリークされたのは間違いない。罰則規定のある法令違反を犯しても、STAP論文の「不正」をゴシップ的に報道する理由はなんなのか? 

 ここで、NHKスペシャルの決定的な「誤り」を取り上げる。小保方氏による「ES細胞窃盗および捏造説」へとミスリードした内容である。

 番組では、論文執筆者の一人である若山氏が登場する。論文関係者では唯一インタビューに応じていた。そして、若山氏の3カ月に及ぶSTAP細胞検証実験の様子が映し出され、タイミングの良いことに、カメラは「STAP幹細胞が若山氏の渡したマウス由来でない証拠」が見つかった瞬間を捉えていた。

 さらに番組では、小保方氏の研究室の冷凍庫から容器が見つかった、と写真付きで解説し(この写真も内部からのリークである)、若山氏のもとにいた留学生の“証言”も放送された。留学生はES細胞を若山氏の研究室で作製し、若山研究室が理研から山梨大学に移った際に持っていったはずだと言い、次のように証言した。

「びっくりした。小保方氏に渡したことはない」

 そして、ナレーションは次のように結んだ。

「なぜ、このES細胞が、小保方氏が使う冷凍庫から見つかったのか。私たちは小保方氏に、こうした疑問に答えてほしいと考えている」

 NHKはこの質問の答えを求めて、ホテルで小保方氏をトイレまで追い詰めるという取材を行い、全治2週間の怪我を負わせた。

●論拠を失った「ES細胞混入説」に基づき番組構成

 ここから同番組の決定的な「誤り」の部分だ。放送された7月27日に先立つ22日、若山教授がこれまで主張してきた「STAP幹細胞は若山研究室にないマウスに由来している」という解析結果が間違いだったと発表した(23日付朝日新聞記事『STAP細胞解析結果は誤り 若山氏、会見内容を訂正』より)

 22日の時点で、解析結果が間違っており、STAP幹細胞が若山研究所のマウスに由来する可能性、つまり、小保方氏がES細胞を混入したことを“否定”する可能性を示していたのにもかかわらず、同番組は「ES細胞混入説」で押し通したのだ。ちなみに22日の時点で番組の編集が終わっていた、という理屈は通じない。なぜなら、小保方氏がNHKの執拗な取材で怪我を負ったのが23日だからだ。

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