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カジノ法案審議入り、重要論点を総点検 公営or民営、誘致活動、参入と入場の規制

文=山脇康嗣/弁護士
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 大熊利昭議員(みんなの党)による「カジノ施設の中でパチンコ台を置くケースと町中のパチンコ店のケースはどう考えればいいのか。今回の基本法、プログラム法および今後の個別法で、パチンコも規制対象にできるのか」との質問に対し柿沢議員は、風営法においてパチンコは、店舗単位で規制されているのに対し、カジノを含むIRは、面的な広がりがあるという点でまず違いがあると述べた上で、「IR推進の一環としてのカジノの導入と遊技としてのパチンコあるいはパチンコ店は、まったく別のものであり、仮にパチンコ台がIRの中に設置をされても、この法律においてパチンコ店の営業が規制の対象となるわけではない」と答弁している。

 法的な結論を正確に述べれば、IR法において、カジノを「器具等を用いて金銭を賭するゲーミングを行うこと」と広く定義すれば、「カジノ施設」においてパチンコやパチスロを置くこともできる。また、「遊技」ではなく「賭博」として許容する以上、現行の風営法上では認められない程度の高い射幸性も許容されることとなる。他方で、風営法によって規律されるパチンコ店に対する規制がIR法によって直接的な影響を受けることはない。

●民営カジノか公営カジノか

 これも意外に思われるかもしれないが、IR推進法案においては、カジノが民営なのか公営なのかについて、直接的には規定されていない。つまり、同法案においては、カジノ施設の「設置」および「運営」を民間事業者が行うと規定されているものの、賭博たるカジノの「施行」を、私企業などの民間が行う(民営カジノ)のか、自治体などの公が行う(公営カジノ)のかについて、直接的・明示的な規定はない。

 ただし、競馬などの公営賭博を認める既存の法律とは法構造が大きく異なることや、あえてカジノ管理委員会を内閣府の外局に設け、カジノ施設関係者に対する強い規制を行うと規定していることなどから、法案全体を通してみれば、民間がカジノの施行を行うことを前提としている(いわゆる公施行民委託方式のカジノを排除している)と解釈する余地がある。さらに、提案者たる国会議員も、カジノの施行者は公的な主体ではなく民間事業者であると答弁している。

 すなわち、岩屋毅議員(自民党)は、「カジノというゲーミングは、施行者がプレーヤーとリスクをとって向き合うだけに、公的な主体が施行者になることはふさわしくないため、民間事業者を厳格に審査してライセンスを与えるという仕組みを考えた」と答弁し、同じく提案者である柿沢議員も同旨の答弁をしている。よって、IR推進法が成立した場合には、それを受けて立案されるIR実施法も、施行権が民間にある民営カジノを前提として策定されるべきことになる。

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