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エアアジア再参入の真相 命運握る羽田進出を託された三木谷・楽天社長の“政治力”

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト
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●命運握る羽田空港参入

 一方、同会見でフェルナンデス氏は、「ANAとの合弁失敗で学んだのは、私と同じような考えを持つ経営者と一緒に日本事業をやらなければいけないとの教訓だ」と語り、「(再参入では)いずれの航空会社とも手を組む選択肢は初めからなかった」と述べている。つまり、経営関与を求めず資金だけ出してくれる出資者を探していたことになるが、その布石を同氏は用意周到に打っていた。

 それは今年4月、IT企業団体の新経済連盟が開催した「新経済サミット」でのことだった。ゲストスピーカーとして講演したフェルナンデス氏はその中で自社のLCC戦略に触れ、「15年を目途に国内へ再参入する」と断言。再参入のパートナーの条件として「日本政府への政治的影響力を持ち、航空事業の経験はないが航空業界に革命を起こす意欲を持つ経営者」を挙げた。この条件に合うパートナーが、三木谷氏を暗に指していることは明らかだった。ある航空業界筋は「これを聞いた瞬間、三木谷氏と大筋で話がついているな」と直感したと振り返る。

 フェルナンデス氏は英サッカークラブ「クイーンズ・パーク・レンジャーズ」のオーナーで、三木谷氏もJリーグクラブ「ヴィッセル神戸」のオーナー。サッカークラブのオーナー同士として2人でのサッカー観戦もしばしば。それで親交が深まり、今や「トニー、ミッキー」と愛称で呼び合う間柄。「規制緩和の旗振り役を自負し、安倍晋三首相とも個人的なパイプも持ち、しかも航空会社の経営そのものには色気のない三木谷氏と組めば、日本市場攻略の道が一気に開ける。その誘いに三木谷氏が乗った」(業界関係者)という。

 では、エアアジアはなぜ政治的影響力を持つパートナーを欲しているのだろうか。業界関係者は「国内再参入成功の成否が、羽田進出にかかっているとエアアジアが考えているからだ」と指摘、次のように説明する。

 新会社はセントレア(中部国際空港)を拠点空港にする予定だが、これは暫定措置。拠点空港として狙っているのは羽田空港だ。セントレアではキャパシティー的な難があるためだ。新会社は来年6月に航空機2機で就航。年内に4機に増やし、その後は毎年5機ずつ増やす計画をしている。急ピッチで増える航空機の整備や運航を、滑走路が1本しかないセントレアで賄うのは無理。国際便運航の際もアクセスが悪い。そこで滑走路が4本ある羽田空港への進出を狙っている。

 その背景には、年間利用客数が3000万人を超える日本最大の空港に進出し、得意の格安運賃で攻勢をかければ、日本市場攻略成功は間違いないというエアアジアの読みがある。前出会見でも、新会社の小田切義憲社長は「当社は名古屋で事業を開始する予定だが、当社に課せられたミッションの重さを思うと羽田進出は絶対条件」と明言している。

●政治的影響力を見込まれた三木谷氏

 だが問題は羽田空港発着枠の獲得だ。羽田空港国内線の発着枠はすでに上限に達している。現在利用しているのはJAL、ANA、スカイマークなど大手と中堅の7社。LCCが羽田空港に潜り込む余地はない。そんな中、エアバスは羽田空港発着枠獲得のため、エアバスとの購入契約解約問題で窮地に陥っているスカイマークの経営権を狙い、同社への出資を検討しているとの報道も今月流れた。

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