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不振グリー、なぜヒット作が出ない?崩れた必勝パターン、新事業連発に社内外から疑問の声

文=福井晋/フリーライター
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 しかも、ゲームの基本システムはオリジナル版もアレンジ版も大差はないので、ゲーム1本当たりの開発費は1000万円程度。開発期間も3カ月程度で済んだ。ゲームもユーザがネット上からダウンロードする仕組みなので、広告宣伝に費用をかけても全体の販売コストは低い。ゲームが1本ヒットすると、そのゲームから毎月多額の営業利益が生まれた。

●遅れたスマホ対応

 そんなソーシャルゲーム事業の旨味が、スマホの普及で消滅した。

 携帯電話向けゲームはデータダウンロード型だが、スマホ向けゲームはアプリダウンロード型。例えば携帯向けの場合は、ユーザが遊ぶたびにゲーム会社のサーバから必要なデータをダウンロードする。対して、スマホ向けの場合は、画像、音声などゲーム構成に必要な全データをソフトウェア化したアプリを、ユーザは事前にダウンロードしてから遊ぶ。  

 スマホの画面は携帯より大きく精細なので、スマホ向けゲームには携帯向けよりリアルな画像と迫力のある音源が要求され、会社側にとっては家庭用ゲーム機向けソフト同様の開発工程、開発期間、開発費が必要になる。しかも、1本のゲームもスマホの主流OS、iOSとAndroidの2種類向けに開発する必要がある。このため、ゲーム1本当たりの開発費は、それまでの1000万円から5000万~1億円へ増え、開発期間は3カ月から9カ月~1年へ延びた。ソーシャルゲーム事業を携帯向けからスマホ向けにシフトするためには、工程管理を含め、ゲーム開発体制を根本的に変えなければならなかった。

 それだけではない。これだけ巨額の費用をかけて新作を開発しても、それがヒットする保証はどこにもない。スマホ時代になると、ソーシャルゲーム事業はリスキーな事業になり、携帯向け時代に確立した必勝パターンは通用しなくなった。グリーはこうした環境変化に戸惑い、スマホ対応が遅れたといわれている。

●市場からは冷めた見方も

 グリーは14年6月期連結決算説明会の席上、前年度1年間で約40本の新作ゲームを開発しながら1本もヒットしなかった理由について、「(ヒット作を生むためには)打率向上(開発力強化、開発工程見直し)×打席数増加(開発本数増加)が重要だが、前期は打率向上が不十分だった」と反省。そして「これまで300人体制だったスマホ向けゲーム開発人員を今期中に一挙1000人体制へ拡大、ゲーム事業の業績巻き返しを図る」と説明した。

 もちろん、体制強化によりヒット作が生まれる保証はないが、そこでソーシャルゲームに次ぐ事業を早急に打ち立てるため、今年の新事業開始ラッシュにつながっている。
グリーの関係者は、同社内の動きについて次のように打ち明ける。

「今年1月から田中良和社長が急に『総合インターネット企業への飛躍』を言いだし、社内は『リアルビジネスのネット化』ができる事業を探せと大騒ぎになった。そして今年4月、新事業の社内公募を行い、全社員約1800人から150件ほど集まった企画の中で、役員プレゼンに合格した案件が順次事業化されている」

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