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永濱利廣『“バイアスを排除した”経済の見方』(9月22日)

年率GDP、“実質”16.9%の大幅減?経済成長失速、高まる消費再増税への壁

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト
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●補正予算の議論必至か

 7~9月期GDPの見通しについては、個人消費を中心にリバウンドが期待されている。GDP個人消費の月次指標である消費総合指数によれば、7月以降が横ばいで推移したとしても、7~9月期の実質個人消費は0.9%増となり、これだけで7~9月期の実質成長率を年率で2.3%程度押し上げることになる。また、前述の通り設備投資や輸出、さらには昨年度補正予算の顕在化が期待される公共投資の反転も予想されることから、プラス成長に復帰することはほぼ確実だろう。

 しかし、そもそも駆け込みと反動をならした1~6月期の水準に戻るだけでも7~9月期は年率3.8%成長に達する。一方、来年10月に控えている消費税率引き上げの判断材料の観点からすれば、前回の判断時には実質2%程度の成長が目安となっていた。このため、今回の駆け込みと反動をならした実質GDPで年率2%成長を維持するためには、7~9月期の成長率が前期比年率で+5.8%となることが必要と試算される。ただ、7~9月期は今回年率で5.5%も押し上げた民間在庫品増加が在庫切り崩しでマイナス寄与になる可能性が高いことも加味すれば、次回の消費税率引き上げを決断するための7~9月期の経済成長率のハードルは、かなりきついといわざるを得ない。

 そもそも、消費者の実感ベースとなる持ち家の帰属家賃を除くCPIが7月に前年比4%以上上昇する一方で、7月の名目賃金の上昇率が+2.6%と物価上昇に追いついておらず、国内景気にとって大きな購買力の低下につながっている。従って、日銀や政府の今年度経済成長率見通し(それぞれ+1.0%、+1.2%)も下方修正は必至の状況だ。

 こうなると、市場では日銀の追加緩和や政府の追加対策の期待が高まりやすくなろう。ただし、日銀は労働市場やインフレ率の悪化が顕在化するまで追加の金融緩和の可能性は低い。むしろ、年末の消費税判断や秋の自民党総裁選、さらには来春の統一地方選挙を控えている政府側のほうから、今月にも補正予算の議論が高まる公算が高いだろう。
(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト)

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