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永井孝尚『企業の現場で使えるビジネス戦略講座』(9月25日)

「成功は失敗のもと」の罠、どう回避?会長反対でも発売、あのヒット商品誕生秘話より考察

文=永井孝尚/オフィス永井代表

●「やるべきこと」「やりたいこと」を考える

 では、どうすべきか? アサヒの事例がまさに参考になる。現場が考えたように「やるべきこと」「やりたいこと」を考えるのだ。

 両者の違いを図で表現してみると、冒頭の図のようになる。

「できること」と「できないこと」。言い換えれば自分の常識で考えるのは、過去を基準に判断している。確かに過去の成功経験は大切だ。人を成長させてもくれる。しかし半面、成功体験だけを基準に判断するようになると、リスクを過度に回避してしまう弊害もある。過ぎ去った経験をもとに、必要以上に未来を恐れてしまう。こうなると新しい未来を切り開くことは難しい。

 だから「成功は失敗のもと」なのである。では、そうならないためにはどうすればよいのか?

 未来がどうなるかは誰一人わからない。市場も顧客も変わる。さらに人は、いくつになっても成長し続けるものだ。むしろ、常に「やるべきこと」「やりたいこと」を考える。そして実行しながら学ぶ。変化が激しい現代は、成功の方程式も変わる。だから場合によっては過去の自分を否定する。「過去の自分の否定力」は、実は来るべき未来を基準に考える、未来志向の考え方なのだ。

「成功は失敗のもと」の罠から抜け出すヒントは、意外と単純なことに、過去の成功体験を一旦リセットした上で、「やるべきこと」「やりたいこと」を考えることにあるのだ。
(文=永井孝尚/オフィス永井代表)

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

 マーケティング戦略アドバイザー。1984年に慶應義塾大学工学部を卒業後、日本IBMに入社。マーケティングマネージャーとして事業戦略策定と実施を担当、さらに人材育成責任者として人材育成戦略策定と実施を担当し、同社ソフトウェア事業の成長を支える。2013年に日本IBMを退社して独立。マーケティング思考を日本に根付かせることを目的に、ウォンツアンドバリュー株式会社を設立して代表取締役に就任。専門用語を使わずにわかりやすい言葉でマーケティングの本質を伝えることをモットーとし、幅広い企業や団体へ年間数十件の講演やワークショップ研修を実施。さらに書籍・雑誌の執筆、メディア出演などで、より多くの人たちにマーケティングの面白さを伝え続けている。主な著書に、シリーズ累計60万部を突破した『100円のコーラを1000円で売る方法』シリーズ(全3巻、コミック版全3巻、図解版、文庫版)、『そうだ、星を売ろう』、『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』、『残業3時間を朝30分で片づける仕事術』(以上KADOKAWA)、『「戦略力」が身につく方法』(PHPビジネス新書)がある。最新著は『これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング』(SB新書)

・問い合わせ先:永井孝尚オフィシャルサイト

Twitter:@takahisanagai

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