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吉田潮「だからテレビはやめられない」(10月13日)

“面白い”トーク番組の条件を検証 具志堅用高とカマキリを熱弁する香川照之のノーブルさ

文=吉田潮/ライター・イラストレーター
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●香川照之のノーブルさ

 で、10月2、10日と2週連続で『アナザースカイ』に私の大好きな香川照之が登場。以前からボクシングが好き過ぎて熱く語る香川の姿は、他局の番組でも映し出されていた。特に、具志堅用高が好きで、具志堅用高以上に具志堅用高を知っているオタクっぷり。具志堅がしゃべると具志堅の偉大さが薄れてしまうという逆転現象を忸怩たる思いで観ていたという香川。しまいには「具志堅さん、しゃべっちゃダメ!」と制する始末。でも、このあたりは既知の事実。今回は、動物や昆虫好きの一面も見せる。カマキリについて熱く語る香川。ワイプに映って声は消されても、しゃべりまくっている様子。しかもロンドンロケなのに。

 そう、香川はロンドンを訪れたのだ。旧知の友人(商社マンのお友達)に会い、知的階層に属している香川のノーブルさを改めて滲み出していた。しかも2週連続である。ボクシングとカマキリはいわばマクラね。後編ではさらに足を延ばしてフランスへ。暗黒のVシネ時代、同じセリフを108回も言わされた辛酸舐めまくりの苦労話が面白かった。こうした辛酸を土台に、芝居に対する考えが変わったともいう。

 さらには歌舞伎役者・市川中車として茨の道を選んだ理由も凄まじい。「息子もいるのに、自分の代でロープ(血のたとえ)を断ち切るわけにはいかない」という思い。思い出の地を訪れ、役者人生の来し方行く末を語る香川にしばし観入った。2週連続にするだけの濃厚な内容だった。

 海外ロケで一人語り+スタジオ収録でさらにえぐるの二段構え。『アナザースカイ』、あなどれん。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)

●吉田潮(よしだ・うしお):
ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)で「TVふうーん録」を連載中。主な著書に『2人で愉しむ新・大人の悦楽』(ナガオカ文庫)、『気持ちいいこと。』(宝島社)、『幸せな離婚』(生活文化出版)など。「週刊新潮」(新潮社)の連載記事をまとめた単行本『TV大人の視聴』(講談社)が11月11日に発売予定。

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