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“野放しの”電子たばこ、規制・課税の議論浮上 政府、健康への影響調査を開始

文=鷲尾香一/ジャーナリスト
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 電子たばこメーカーはFDA(米連邦食品医薬品局)に登録が義務付けられ、製品とその成分の報告義務がある。新製品の販売にはFDAの承認が必要で、18歳未満への販売や自動販売機での販売が禁止されている。パッケージには「中毒性がある」などの文言を表示する義務もある。

 こうした規制を受け、ニューヨークやワシントンDCなどの主要都市では、喫煙が禁止されているすべての場所において、電子たばこの使用も禁止されている。一方、EUではニコチンを含む電子たばこについて、その品質と安全性の基準、パッケージなどへの表示を加盟国間で統一することになっている。16年前半には、すべての加盟国で国内法が整備されることになっている。

 そのほか、ブラジルやシンガポールでは、電子たばこは製造、輸入、販売が全面禁止となっており、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどでは、保険・治療目的のためのニコチンを含む電子たばこは、医薬品として規制されている。

 しかし、意外なことに電子たばこの公衆衛生上の問題は明らかになっていないのが実態だ。電子たばこが使用者本人または周囲にいる人の健康にどのような影響を及ぼすかという点について、複数の研究者の研究結果によると、「健康上のリスクはないか、あるとしても極めて小さい」としている。

 実は、たばこへの課税根拠は、かつては贅沢品への課税という意味合いが強かったが、現在では外部不経済(本人および周囲への健康被害)に対する矯正的課税としての意味合いが強い。一方、電子たばこでは今のところ、外部不経済という根拠は明らかになっていないため、課税するためには相応の理由付けが必要だろう。

 ここで、外国における電子たばこへの課税状況をみてみよう。イタリアでは14年1月から課税を実施している。米国では、連邦たばこ税は電子たばこを課税対象としていないが、FDAが「たばこ製品」と定義したものに対してたばこ税を課すとする内容の法案が、現在連邦議会に提出されており、その法案では事実上、電子たばこも課税対象に含まれている。さらに、ミネソタ州は税収増を目的に12年10月から電子たばこへの課税を行っており、同様に税収の増加を目的に複数の州で電子たばこへの課税が検討されている。

 さて、財源の確保に苦しむ日本ではどうなのか。厚生労働省は電子たばこの健康への影響について調査を開始し、今秋から有識者による委員会で安全性を検証する予定になっている。近い将来、電子たばこに課税される日が来る可能性もある。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

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17:30更新