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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」(10月20日)

今夏の異常気象、消費再増税判断を“惑わす”可能性も 日照時間とGDPの相関関係

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト
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消費再増税の判断に影響及ぼす可能性も

 以上のとおり、夏の日照時間と経済には非常に深い関係があることがわかる。中でも93年には、景気動向指数の一致DIが改善したことを根拠に政府が6月に景気底入れを宣言したが、円高やエルニーニョ現象が引き起こした長雨・冷夏等の悪影響により、景気底入れ宣言を取り下げざるを得なくなったという経緯がある。

 また、今年7-9月期の経済成長率が、来年10月に控えている消費税率の再引き上げの重要な判断材料の一つであることからすれば、今夏の異常気象が消費税率引き上げの判断を惑わす可能性も考えられる。事実、本試算では同期の経済成長率を年率換算で▲0.8ポイント押し下げると試算される。ただ、こうした日照不足の影響は一時的な影響に限られる。ちなみに、駆け込みと反動をならした1-6月期の水準から7-9月期の経済成長率が年率2%成長軌道に戻るには、前期比年率ベースで+5.8%成長が必要となり、日照不足の影響を除いても前期比年率+5.0%成長が必要な結果となる。

 このように、天候不順の影響の織り込み方次第では、来年10月に控えている消費税率引き上げの判断に思わぬ混乱をもたらす可能性も否定できないといえよう。なお、内閣府でも天候不順が今年7-9月期の経済成長率に及ぼす影響を前期比▲0.2%~▲0.6%と試算している。ただ、駆け込みと反動をならした1-6月期の水準から7-9月期がまったく成長をしなくても、前期比年率では+3.8%成長を記録することからすれば、経済成長率から消費税率引き上げを決断する条件としては、最低+3.8%成長が必要であると考えられることについても補足しておきたい。
(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト)

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