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鈴木貴博「経済を読む“目玉”」第23回

GPIFの年金資産、100%株式運用が最も良い?株式市場全体の上昇にも寄与?

文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役
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 アメリカでは企業年金は確定拠出型に切り替えられて久しい。確定拠出型とは、社員と企業が毎年一定額を社員の将来の年金原資として拠出するものだが、その運用先は社員自身が決めるというものである。その際、銀行預金に預けていても、たいして資産は増えない。プロがこういった社員に行うのは、「結局、S&P500(アメリカの主要な株式指標)に連動する投資信託に投資するのが一番確実ですよ」というアドバイスである。

 そして何が起こったかというと、アメリカの株式市場には毎年S&Pに投資をする巨額な買い手が登場することになった。因果関係はともかく結果だけをみると、確定拠出型に年金が切り替えられて以降、S&P500の指標は長期でみれば安定してこれまで以上のペースで右肩上がりを続けている。結果として、アメリカの上場企業は平均すれば株価が安定して上がっている会社のほうが多いということになり、実際にアメリカ経済は成長している。これと同じことが日本の株式市場で起こせるのではないかというのが、筆者の考えである。

 これから先、年金も国民の資産運用先も、個別株ではなくTOPIX連動で運用していくのが常識になってしまえば、結果として日本経済は成長していくのである。そして経済さえ成長してしまえば、人口減少や日本衰退への危惧もなくなっていくはずだ。

 ところで最後に、長期的な運用資産の一定量には株式よりも安心な債券を組み込むことが常識であるにもかかわらず、なぜ筆者は年金資産を100%株式で運用することを提案しているのか?

 その答えは、日本国債が一番危ないと思っているからだ。たとえ日本国政府の財政が破たんしても、民間企業すべてが一緒に消滅するわけではない。日本財政がデフォルトしても、トヨタ自動車や東芝、ファーストリテイリング、ソフトバンクなどの企業が国民の未来の生活を支えてくれる。その可能性に投資をしようというのが、今回の非常識発想のベースにある。
(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)

●鈴木貴博(すずき・たかひろ)
事業戦略コンサルタント。百年コンサルティング代表取締役。1986年、ボストンコンサルティンググループ入社。持ち前の分析力と洞察力を武器に、企業間の複雑な競争原理を解明する専門家として13年にわたり活躍。伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)の起業に参画後、03年に独立し、百年コンサルティングを創業。以来、最も創造的でかつ「がつん!」とインパクトのある事業戦略作りができるアドバイザーとして大企業からの注文が途絶えたことがない。主な著書に『NARUTOはなぜ中忍になれないのか』『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱』(ともに朝日新聞出版)、『戦略思考トレーニング』(日本経済新聞出版社)、『カーライル 世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略』(ダイヤモンド社)などがある。

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