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福留憲治「とあるマーケ・コンサルの日記」(Vol.1)

日本企業、なぜ新興国市場で苦戦?ブランド確立と最適な商品開発を阻む内部要因

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 一方、当時日本企業の攻勢を受けた欧米の家電・自動車メーカーは、利益率の低い中・低価格商品を生産しても、利益が出にくい状況になりました。そこで、生産量が少なくなっても、価格が高く、利益率も高い高価格商品に重点を置くようになったのです。その「程度」は企業によりますが、シェアを捨てて利益率の高い商品に絞ろうとする動きは、多くの欧米メーカーに共通していました。

 この結果、各企業は利益率が改善し株価が上昇。一部のメーカーは高級品を売る際に重要となる「心理的な付加価値」としてブランディングを効果的に行う事に成功し、そのノウハウを蓄積していきました。しかし長期的に見ると、欧米メーカーの多くは衰退し、市場から姿を消していきました。中・低価格帯の商品は、その商品だけで見ると利益を生み出しているわけではなかったものの、それらのシェアを日本企業に奪われた結果、欧米企業は生産ノウハウや資材調達力などが低下したためです。

 こうして日本企業は、大きなシェアと利益を得ることができました。この時代において日本企業にとっての「ブランド」とは、工業製品として安定して無駄なく生産され、壊れにくく、正常に動くという「品質保証」を消費者に約束するものでした。そして、この時代に日本企業の海外販社が多く設置され、その当時の名残が今でも残っているのです。

●新興国における日本企業の位置づけ

 現在、日本は先進国の一つとなり、日本企業は新興国では「先進国の企業」となりました。そして現在は、アジアの韓国や台湾、中国などの各メーカーが世界市場の各分野で着実に中・低価格商品のシェアを取って生産数量を増やしつつあり、力をつけています。結果として、価格競争で日本メーカーは優位に立ちにくい状況になりました。

 そこで、新興国市場で中・低価格モデルでは利益が出ないため、日本メーカーには高級モデルの販売にシフトしようとする動きが多く出てきます。しかしそれをするなら、かつての生き残った欧米メーカーのように、商品には品質保証の価値だけでなく、高級モデルならではの心理的な付加価値が求められます。

 ところが、ここで海外の現地販社の位置付けの問題がボトルネックになるのです。
まずブランドといわれて、多くの日本メーカーが連想するのは「品質保証」というブランド価値です。ブランド価値とは「○○であれば○○」というように、消費者に何かを約束することで価値が生まれます。日本企業にとってのブランド価値とは、その企業の商品であれば「壊れないし、不良品もないし、性能も高い」という、「品質保証」を約束する意味で使われてきたのです。

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