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福留憲治「とあるマーケ・コンサルの日記」(Vol.1)

日本企業、なぜ新興国市場で苦戦?ブランド確立と最適な商品開発を阻む内部要因

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 新興国においては、先進国企業の生産コストは一般的に高くなりますから、その高額商品で、単に品質保証をするだけでは、なかなか売れにくくなっていきます。その商品の普及率が上がる(コモディティ化ともいわれます)するほど、その商品がきちんと動くという品質保証は「当たり前」になっていきます。つまり、工業製品としての品質が高いのは当たり前となり、それだけではブランド価値を発揮しにくくなっていくのです。そこで、一定以上の高級ブランドとして価値を感じられるためには、品質保証の価値だけでなく、心理的な価値を持つ必要があります。

 わかりやすく例え話でいえば、かつてスイス製の時計は職人芸の結晶といわれ、高級品の代名詞でした。スイス製の手づくりの時計は、他国の製品を圧倒するほどの精度で正確に時間を刻み、使いやすく、世界中から信頼されるブランドをつくっていたのです。しかし、日本企業がクオーツを開発したことで、「時を正確に、壊れず、刻み続ける」という時計の品質保証は、低価格で簡単に実現できるようになりました。その結果、スイスの時計メーカーの多くは、単に「時間を正確に刻み続ける」という品質保証のブランドだけでは高すぎて、売れなくなったのです。結果として多くの時計メーカーは淘汰されました。しかし一方で、職人芸のストーリーを背景にした高級品や嗜好品の新しい価値や、ファッション性の優れた製品として新しい価値をつくり上げたメーカーは、高い利益率を実現できるブランドをつくっていったのです。このような変化が、工業製品としての基本的な価値を保証するブランドから、心理的な価値を提供するブランドへ変わるということです。

●海外法人が“販売会社”として設計されている課題

 ところが日本企業の海外現地法人は、このような心理的な価値としてのブランド・イメージのコントロール機能を有しておらず、さらに、心理的価値やブランドをつくることが、本社から評価される体制にもなっていません。海外の開発拠点も少なく、現地の市場を理解して、それに適したかたちで商品開発とマーケティングを展開することが難しい体制となっている課題があるのです。

 具体的に見ていきます。

 まず、ブランド価値を高めるためには、商品に込められた思いやストーリーを、感動的・効果的に伝え、まさに消費者の心理を動かすことが必要です。そのためには、現地で自社や競合のブランド・イメージの位置付けを把握することから始まります。そして、多くは本社が「全体的な方向性」を示し、その方向性に沿ったかたちで、その新興国の文化的な背景なども踏まえて、現地で「どのように伝えるか」を考え、効果的に伝える取り組みを実施していくことが必要となります。これらの作業には、いずれも現地での皮膚感覚が必要なため、本社のブランド管理部門だけではできず、現地のマーケティング機能と連動して実施する必要があります。

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