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西川淳「ボンジョルノ!クルマ」(11月11日)

際立つマツダ、専門家&消費者双方から高評価の不思議 シンプルな努力で欧州車と比肩

文=西川淳/ジュネコ代表取締役、自動車評論家
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 問題は、軽自動車以外のクルマづくりの方向性にある。近年、マツダのクルマばかりに高い評価が集中して、その他の、例えば販売台数規模では4倍にも及ぶホンダや、それ以上の規模であるトヨタや日産は専門家が“世界で通用する良いクルマ”と評価するものをつくれていない。

 その理由は、年間500万台以上という巨大な日本の新車マーケットを重視すれば、そうならざるを得ない、ということだろう。13年の国内新車販売台数は約538万台だったが、そのうちの約4割を軽自動車が占めたということからも、いかに大メーカー系グループ各社が国内市場のニーズをくみ取った商品企画にいそしんでいるかがうかがえる。

 しかし、これ以上の拡大が望めない日本市場に力を入れすぎることが、必ずしもグローバルメーカーの利益につながらないことは、各社とも十分に理解している。だからこそ、例えば日産のように、国内向けモデルを軽自動車やミニバン、コンパクトカーに絞り込むという明確な戦略を打ち出すメーカーも現れた。

●マツダを支える、シンプルな取り組みの積み重ね

 そんな時代の流れに対するある種のアンチテーゼが、マツダの最近のクルマづくりではないか。専門家の評価が高いだけでなく、消費者からの評判も高い。14年3月度決算で過去最高益を記録し、営業利益率でホンダを上回るという好調な業績がそれを物語っている。

 最近のマツダ車は、ただ燃費が良いだけのクルマではないことは確かだ。所有したい、運転したい、楽しんでみたい、と思わせる点で、ヨーロッパ車に伍する仕上がりになっている。そこが、人気のハイブリッド車にはない魅力として、ミニバンや軽自動車を選ばないユーザーの目には映ったに違いない。

 マツダが実践してきたことは、自動車メーカーとして、この上なくシンプルな取り組みの積み重ねであった。魅力的なデザインをプロダクトアウトで実現し、経済性と高性能を両立する技術=スカイアクティブテクノロジーを追求し、そして生産と開発のシステムを究極的に合理化した。もちろん、広島県を中心とした地場の産業構造が一体となって、マツダの革新を後押ししてきた。

 日本的なモノづくりを極めて、世界市場に通用する商品をつくりあげる。日本の製造業がヒントにすべきアイデアは今、トヨタや日産といった大メーカーではなく、マツダにあるのではないか。
(文=西川淳/ジュネコ代表取締役、自動車評論家)

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