ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
『SAKURA~事件を聞く女~』公式サイト(「TBS HP」より)
今期(10~12月期)の連続テレビドラマは断然TBSが面白い。鉄板の続編『MOZU Season2』『深夜食堂3』あたりはハイクオリティ&納得の構成で、続編なのに色褪せず。クドカンこと宮藤官九郎の『ごめんね青春!』、湊かなえ原作『Nのために』は、新奇性があって飽きさせない作りで目が離せない。そんなこんなで、視聴率は伴わなくても気炎吐きまくりのTBSドラマ群で、かなり残念な作品が。仲間由紀恵主演『SAKURA~事件を聞く女~』だ。
NHK朝の連続テレビ小説『花子とアン』でようやく老若男女に認知された仲間。もちろん『ごくせん』『TRICK』などの過去の代表作で名を馳せたのだが、基本若者向け作品だったし、トリッキーな3枚目路線だったわけで。その後はイマイチ現代劇に合わない雰囲気が拭えずに微妙な立ち位置だった。『花子とアン』の蓮子という役柄は当たり役だったが、あれもいわば古典的な役どころ。美人だけど外連味たっぷり、浮世離れしている役はいいんだけどな。
で、今回は心の声を聞き取ることができる特殊能力者の役。下町のDJやりながら、生活安全課の警察官で、さらには潜入捜査員というムチャブリ。堤幸彦レベルあるいは金城一紀クラスで特殊能力を描くならいいのだが、ほんわか手ぬるい人情ホームドラマ風で面白いところがひとつもない。誰もつぶやくにつぶやけない。無関心という名の黙殺状態に陥っている。『TV大人の視聴』(吉田潮/講談社)
いくらコスプレしたって外連味は余計に悪目立ちするだけだ。もっとじっくり見せ場がある役ならまだしも、仲間の「妖力」みたいなものがまったく活かされず。森光子の継承者として「浮世離れの年齢不詳道」を貫き、我が道をゆく仲間を心から応援したいのだが、このドラマは正直、ハズレである。仲間にとって。