LCCという誤算

「新規航空会社の経営成功」に自信を得て、国際線に打って出ようとしたスカイマークの足元をすくったのはLCCだった。12年は航空業界で「LCC元年」といわれた年。12年3月にANA系のピーチ・アビエーションが就航したのを皮切りに、7月はJAL系のジェットスター・ジャパン、翌8月はANAとエアアジア(マレーシア)合弁のエアアジア・ジャパンと、一気に3社が就航した。

 サービス面でLCCと大差のないスカイマークはLCC3社の格好の標的にされ、業績が急降下。12年3月期の営業利益は前期比69.4%減で一挙に47億円までしぼみ、14年3月期はついに25億円の営業赤字に沈んだ。

 さらに14年4―6月期の営業赤字は55億円に拡大。この弱り目に追い討ちをかけるように発生したのが違約金問題だった。エアバス社に発注していたA380の購入代金の4月支払い分が未納として、エアバス社は7月29日付でスカイマークに約700億円に上るともいわれる契約違約金の請求と共に売買契約解除を通告。8月末時点のスカイマークの保有現金は72億円とみられるため、株式市場では同社の資金繰りへの不安が一挙に高まった。

●運転資金不足の懸念も

 航空業界担当の証券アナリストは、同社に対し厳しい見方を示す。

「財務諸表を読む限り、自力再建はまず不可能。例えば純資産は389億円(9月30日現在)あり、自己資本比率は49.7%とANAの35.1%を大きく上回っている。しかし短期の債務支払い能力を示す当座比率は49.5%で、安全水準といわれる80―100%のほぼ半分しかない。しかも、火急の際に現金化できる有価証券も保有していない。このままでは運転資金も不足しかねない深刻な状況」

 同社は近年、有利子負債ゼロの無借金経営を貫いてきた。通常ならこれが経営の健全性を示す証しだが、皮肉なことに、これも同社の足枷になっているようだ。

「スカイマークは無借金経営なので、メインバンクを持たない会社。つまり、経営危機に陥った時に金融支援してくれる銀行がいない。10年に経営破綻したJALの場合はメインバンクが音頭をとって再建スキームを描き、JALは経営独立性を全うできた。スカイマークにはこれができない」(都銀関係者)

 一方、大手リース会社関係者は「自力再建を絶望視させているのがリース債務の多さ」と、次のように説明する。

 スカイマークは機材を34機(今年10月1日現在)保有しているが、これらはすべてリース。一般の残債に当たる未経過リース料期末残高は約1000億円(14年3月期)。この支払いを営業赤字の中で続けなければならないが、行き詰まるのは時間の問題だ。
それを避けるためには一定機材数をリース解約して身軽になる必要があるが、解約で機材数が減っても、その負担がなくなるわけではない。リース会社との交渉次第になるが、ある程度は払わなければならない。だが、今の同社に、そうしたリストラ原資さえ捻出する余裕はない。

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