金融機関反社勢力との取引解消に当たっては警察の協力を得たいのが本音だが、現実には警察は介入せず、金融機関の対応に任せている。身に危険が及びかねない反社勢力との取引解消は生易しいことではない。

●箱企業を通じて資金調達

 証券会社でつくる日本証券業協会(日証協)は、2013年1月から警察庁の反社データを活用する仕組みを開始している。それにより、金融証品取引法に基づき守秘義務が課せられている日証協を通じて、証券会社は取引する顧客について全件チェックすることとなった。

 しかし、この制度は反社勢力を遮断するのに、目に見える効果を発揮してはいない。

 9月18日付読売新聞記事は、有価証券報告書の虚偽記載を理由にジャスダック上場廃止になったセキュリティー専門商社インスパイアーが「箱企業」であると指摘している。

 業績不振の上場会社を仕手筋や金融ブローカーが乗っ取り、これを器(=箱)として違法な出資を募ったり、資金を不正に流出させたりする。こうした上場企業は、業務の実態が乏しく、空箱のような存在として箱企業と呼ばれているという。

 インスパイアーは箱企業の典型例で、13年3月期の売上高が4300万円しかないのに、増資を繰り返して債務超過を免れ、そこで得られた資金や貸付金は会社を乗っ取った金融ブローカーなどの手に渡っていた。反社勢力は、表から隠れた状態で金融ブローカーや仕手筋の資金スポンサーとなり、多額のリターンを得ている。日証協が警察から反社データを入手しても、反社勢力の関係者が直接口座をつくっているわけではないので、実態を把握するのは困難を極める。

 このように、反社勢力は身分を隠して取引を開始し、表には出てこない。また、取引開始後に身分が判明した場合に、どのように関係を断ち切るのかなど、金融機関は難問に直面している。
(文=編集部)

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