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ANA、拡大路線で懸念広まる“JAL化” 航空業界、自由化から約20年で寡占状態回帰

文=横山渉/ジャーナリスト
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●囁かれる、JALの二の舞いの懸念

 02年10月、日本エアシステム(JAS)の経営不振を受けて、JALはJASを吸収合併した。JASが持つ羽田発着の優良路線を吸収し、合理化も進めれば、収益力は向上するはずだった。しかし、JASの相当数の不採算路線と古い機材を抱え込むことになり、コストアップにつながった。

 さらにホテル事業でも、運営子会社のJALホテルズが1980年代、海外ホテルに積極投資し、84年にはニューヨークの高級ホテル「エセックスハウス」を1億7500万ドル(当時の為替レートで約200億円)で買収。しかし、バブル崩壊で巨額の赤字を出し、撤退した。JALのホテル事業は、2000年までに累計約700億円の損失を出したといわれる。

 こうした一連の放漫経営によりJALは実質破綻状態に陥り、10年に会社更生法を申請して上場廃止。政府系ファンドの企業再生支援機構が3500億円の公的資金を投入するなどして実質国有化された。

 前出の業界関係者は「最近のANA HDの拡大路線は、かつてのJALと重なって見えてしまう点も多いため、業界内では『JALの二の舞い』を懸念する見方が広まっている」と明かす。

●航空業界、寡占状態に回帰か

 そんなANA以上に不安視されているのが、国内業界3位のスカイマークだ。世界最大の旅客機「A380」の売買契約をめぐり、製造元のエアバスから約760億円もの巨額違約金を求められていたが、両社は話し合いをした結果、違約金を200億円規模にすることで大筋合意したと報じられている。スカイマークは11年、約1915億円を投じて6機のA380を購入する契約をエアバスと締結したが、LCCとの価格競争や円安に伴う燃料費高騰で経営環境が悪化し、今年4月からエアバスと契約見直し交渉を始めたが難航。そこでエアバスがスカイマークに対し、契約解除通告とともに巨額の違約金を求めてきたのだ。

「スカイマークが契約を交わした11年から急速に円安に振れたので、予定よりも支払額が大きくなりました。為替の変動を読めなかったということは西久保愼一社長も認めています。スカイマークがエアバスにすでに支払った前払い金約250億円の範囲内で決着するとはいえ、それでもスカイマークは年間売上高の4分の1の資金を失うことになります。経営に与えるダメージは決して小さくありません。今後、航空業界の三層構造の中で、どのように独自性を出すのかが生き残りのカギです」(業界関係者)

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