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小黒一正准教授の「半歩先を読む経済教室」(11月23日)

消費税、財政破綻回避には32%へ増税必要との試算 再増税延期で将来の税率上昇の懸念

文=小黒一正/法政大学経済学部准教授
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 前出研究によると、日本がデフレから脱却し2%のインフレを実現した場合でも、今後5年おきに段階的に消費税率を5%ずつ引き上げていき、ピーク時の税率を32%にしなければならない。このシナリオは年金給付などの削減など、相当厳しい状況を前提としている。増税スケジュールを遅らせれば、ピーク時の税率が急上昇し、若い世代や将来世代の負担が増す可能性がある。消費税率を10%に引き上げる痛みを先送りすれば、将来の痛みはずっと大きいのだ。

 いずれにせよ、財政再建には3つの手法しかない。増税、歳出削減、経済成長の3つだ。この中で、痛みを伴わないのは経済成長による財政再建である。ただし、国民所得を拡大するために経済成長は重要であるが、経済成長に頼る財政再建はギャンブルである。そうすると、財政を再建するには増税や歳出削減を進めるしかない。その際、歳出削減の中心は、急増する社会保障費の抑制になることは避けられない。

 つまり、再増税をめぐる対立の本質は「実施vs.延期」ではなく「今の痛みかvs. 近い将来のより大きな痛みか」という選択なのだ。今回の衆議院総選挙は12月2日公示、14日投開票だ。選挙は国民が一票を行使し、国の方向性を決める時であることはいうまでもない。もし増税を延期するのであれば、その間、社会保障の抜本改革を含め、徹底的な歳出削減が必要だ。もはや我々に残された時間は少ないのであり、以上の視点も含めて投票を行うことが望まれる。
(文=小黒一正/法政大学経済学部准教授)

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