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ソニー、なぜ存亡の危機に?失敗繰り返される構造改革と、楽観的な収益重視路線の行方

文=片山修/経済ジャーナリスト・経営評論家
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ソニー、なぜ存亡の危機に?失敗繰り返される構造改革と、楽観的な収益重視路線の行方の画像1ソニー「Xperia Z Ultra」
 ソニーはいったい、どこまで漂流を続けるのだろうか。

 同社は、5月14日の2014年3月期決算発表において、1283億円の赤字を計上した。3年連続の赤字の計上で、電機業界「一人負け」の構図である。それから、4カ月後の9月17日、同社は緊急記者会見を開いた。

 実は緊急記者会見の連絡を受けた時、一瞬「平井一夫社長辞任か」と頭をよぎった。私に限らず、ジャーナリストの少なからぬ人がそう思った。平井氏はその席上、15年3月期の業績見通しを大幅下方修正した。同社は今期の業績について当初、「エレクトロニクス事業の回復の遅れにより、中期目標には遠く及ばず、徹底した構造改革を進めることもあり、500億円の最終損失となる見込み」と説明していた。ところが17日の会見では、最終赤字は当初見込みの500億円から2300億円へと拡大することが発表された。不振が続くスマホ事業の減損処理で1800億円の損失を計上したためである。また、1958年の上場以来、初の無配を決めた。同社は「存亡の危機」に立たされているといっていい。

 考えてみれば、業績見通しの下方修正は平井氏が社長に就任した12年4月以来、実に6度目で、いまや“恒例行事”となっている。しかも、同社CFO(最高財務責任者)の吉田憲一郎氏は会見の席上、「本日発表した連結業績見通しの修正は、モバイルコミュニケーション分野の減損以外は、7月に発表した数値をそのまま使っており、減損以外の要因は織り込んでいない」と語った。つまり、今回の下方修正には人員削減に伴う費用が含まれていないということだ。であるならば、今後リストラ費用が膨らめば、もう一段の下方修正が行われるシナリオすら考えられる。

 この会見の席上、モバイル事業に携わる社員の15%にあたる約1000人の削減が発表されたが、同社は今年2月、国内外の本社・販売会社で約5000人の人員削減計画を打ち出したばかりである。日本企業の癖ともいうべき構造改革の小出しも、相変わらずといわなければならない。

●果たされない「経営責任」

 緊急会見で「経営責任」を問われた平井氏は、次のように語った。

「今年度に構造改革をやりきり、業績を回復させることが経営陣の責任だ。私としては、不退転の決意で業績を回復していき、早い段階で復配、ソニーを立て直すことが一番の責任だ」

 同社の記者会見で、この種の「経営責任」問答は何度聞かされてきたかわからない。答えはいつも一緒だ。ソニーを立て直すのが、経営責任を果たすことだ――である。

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