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山崎元「耳の痛い話」(12月3日)

キャリアと人生で失敗しないポイントは、28・35・45歳?適職決め、定年後の目処…

文=山崎元/楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表
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 加えて、35歳を過ぎると、個人の人材としての価値は頭打ちから下落に入る一方で、雇う側の仕事に対する要求水準が上がる。この年代までに人材価値に対する評価を引き上げておかないと、その後の転職等の選択肢が狭まる。

 そして、業種や会社によっても異なるが、大半のビジネスパーソンが50歳前後から50代半ばくらいにかけて仕事のペースをシフト・ダウンさせられる。メガバンクだと大半の行員が50歳前後で「出向」だし、ある大手商社では55歳で「役職定年」だ。共に、役員ないし役員候補の一握り以外の社員は一区切りを迎え、収入も下がる。多くの会社に似た制度がある。60歳から65歳くらいで「定年」となるが、この後にまだまだ続く人生をどう過ごすか、多くの場合、事前にかなり長い準備期間が必要だ。

●適職を決め、人材価値を確立する

 さて、以上の認識を前提に、筆者が考え、しばしば学生や若いビジネスパーソンに話すキャリア・プランニングのポイントをご紹介しよう。

 まず、「28歳までに、自分の職を決める」。「職」は勤め先の業界や会社よりももっと狭い範囲の具体的な仕事の分野だ。例えば、銀行員であれば、個人相手なのか、法人相手なのか、国際部門なのか、市場部門なのか、あるいはシステムやコンプライアンスといった分野の専門家なのか。その分野に自分の時間と努力を投資して、プロフェッショナルとしての仕事のスキルを身に付け、実績をつくる。

「28歳まで」という根拠は、能力的全盛期で職場でもチャンスを得やすい30代前半を、仕事を覚えた状態で迎えたいからだ。仕事を覚えるのに2年かかるとして、30歳-2歳=28歳だ。28歳までは、職業・会社の選択の大きな試行錯誤が可能だ。この時期を過ぎると、分野を大きく変えるような転職はリスキーになってくるし、キャリア・プランニング的に「時間切れ」に近づく公算が大きくなる。

 次に、「35歳までに、人材価値を確立する」ということが大きな目処になる。具体的に仕事をした実績がないと、ビジネスの世界では評価が上がらない。例えば、MBA(経営学修士)のような資格だけでは人材価値は上がらない。

 実績は、特別なものでなく、ある仕事を十分にこなしてきたという事実で十分だ。実際に転職しなくてもいいが、転職市場で買い手から十分な値が付くような人物になることが一つの目処だ。大企業勤めなどの場合、出世等で具体的に形が表れるのはもう少し先になることがあるが、35歳前後では、個々の人材に対する会社の評価は概ね固まっていることがほとんどだ。それに本人が気付かないのは鈍いだけである。

 かつてほど「35歳の壁」が意識されなくなったが、それでも、35歳を過ぎると転職の可能性が狭まる。だが、35歳くらいまでにある程度の人材価値をつくると、その後も転職できるようになることが多い。

山崎元/楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表

山崎元/楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表

経済評論家。楽天証券経済研究所客員研究員。(株)マイベンチマーク代表取締役。1958年北海道生。1981年東京大学経済学部卒業、三菱商事に入社後金融関係の会社に12回の転職を経て現職。資産運用を中心に経済一般に広く発言。将棋、囲碁、競馬、シングルモルト・ウィスキーなどに興味
評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」

Twitter:@yamagen_jp

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