そんなときに放ったこの松陰の言葉。「自らの失敗をこんなふうに笑えるのがまた、松陰のおもしろいところ」と齋藤さんは評しており、笑うことで失敗を吹き飛ばし、元気を取り戻すことの大切さを教えてくれる一言だ。また、笑う松陰に対し、同志の渋生は「なんてついてないんだ」と不機嫌になっているのだが、それも松陰の明るさをいっそう際立たせていると、齋藤さんは指摘する。

齋藤孝さんによる超訳…「君たちの計画はまた失敗したんだな」と言われて、私は笑いながらこう言った。「失敗すればするほど、志はますます堅くなるんだよ。ここで挫けるようじゃ志も大したものじゃないと、天が僕らを試そうと与えた試練なのだから、失敗したってどうしてへこたれるもんか」と。笑顔の私とは対照的に、渋木君の顔には怒りが満ちていたけれど。(116ページより引用)

 失敗の先に未来がある。失敗を乗り越えないと成功は訪れない。これは重々分かっていても、どうしても失敗を恐れてしまうものだ。だが、吉田松陰は、失敗を土台にして、その後の維新への流れをつくりあげた。その姿は人によっては狂気的に映るかもしれない。しかし、齋藤さんの超訳によって表現される松陰の言葉は、あまりにも自分の志に実直で、まさに現代に求められている人間像だと思わされる。

 本書では「志を燃やす」「迷いを断つ」「覚悟を決める」「心を磨く」「人を育てる」「生死を超える」という6つの章を通して、松陰の言葉を解説してくれる。

 2015年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』は吉田松陰の妹である文が主役。松陰はどのような人物として描かれるのか、それもまた楽しみだが、放送が始まる前にこの本を通して松陰についての人となりを再確認するのもいいはずだ。
(新刊JP編集部)

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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。