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小林敬幸「ビジネスのホント」(12月10日)

アベノミクスは経済を動かしていない 景気への影響小、「燃費の悪い」経済政策

文=小林敬幸/『ビジネスをつくる仕事』著者
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・福祉予算を削減する財政政策

 福祉予算を削減することにつきる。せめてその道筋をつけることである。消費税を数%上げたところで財政赤字の増加にとうてい追いつかない。ましてや公務員の給料を減らしても誤差の範囲でしかない。また、景気対策としての短期的な公共工事の増額はやめたほうがいい。不安定な雇用を増やし、資材や工事の市場が混乱するだけだ。それよりも橋や道路の持続可能な維持補修予算を安定的に確保するほうが大事だ。

・雇用を拡大する成長戦略

 雇用の流動性の増加、保育園の拡充などあらゆる手段を使って雇用を拡大する。高齢者が働くと健康になって医療費・介護費の削減にもなる。一方で、特定分野をターゲットにして支援する産業政策は、変化の激しい現代では、有効ではない。株式市場への年金などの公的資金投入は変動性増すだけだ。また、最近やたら多い政府系の「●●基金」と称するファンドもやめたほうがいい。政治家、学者、官僚的人間が手を出すべき分野ではない。

・予見可能性の確保

 恣意性の働く政策をやめ、経済政策の予見可能性を確保することが大事だ。政治が、ある日突然に特定企業を攻撃すると、それをみた他の企業も日本のカントリーリスクが高いと感じて海外活動の比重を強める。さらに企業が内部留保を高め、投資も従業員への給料への配分も控えるので経済停滞につながる。

 選挙期間中に雇用の拡大が論点の中心に移ってきたのは、それだけでも今回の選挙の意義を増して良いことである。国民はしたくもない選挙をする事態になっているけれども、民主的選挙をしたくてもできない香港の人々のことを思えば、はるかにましである。今回の選挙の意義を見いだし、投票所に行こうではないか。
(文=小林敬幸/『ビジネスをつくる仕事』著者)

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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