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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べれば良いのか」(12月19日)

食品に蔓延するゴキブリ汚染 フンや死体まで食べ共食いも、1度の交尾で何度も産卵

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト
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 貪欲で繁殖力の旺盛なゴキブリにとって食品工場は、エサ・水の豊富さと、寒さへの弱さをカバーしてくれる暖房完備、隠れ場所が多いなどの点で、いわばパラダイスだ。食品工場には食品への混入リスクが高いという前提でゴキブリへの徹底した対策が要求されるが、実状はどうか。

●減らない食品へのゴキブリ混入

 東京都の「食品の苦情統計」【編注3】によれば、2012年度には苦情処理件数合計4867件のうち、「有症」(多少の健康被害があったが、原因特定できず)を除き、「異物混入」が681件、全体の14%を占めてトップだった。さらに、その異物の種類別では、「その他」を除き「合成樹脂類」「金属」に次いで「ゴキブリ」が3番手で73件あった。ただし、うち63件が弁当や仕出しなどを含む飲食店営業によるもので、残り10件が食品工場などで混入が起きた。

 ちょうど前出の論文が発表された91年度から12年度までの22年間のデータを見て気が付く点がある。ピーク時の2000年度こそゴキブリが162件で、うち飲食店営業が101件、食品工場などで61件あったが、近年はやや減っているとはいえ、概ねゴキブリは70~100件、うち飲食店営業60~90件、食品工場など10~20件で推移している。基本的に食品のゴキブリ汚染の頻度は変わっていない。それどころか91年度はゴキブリは93件で、うち飲食店営業88件、食品工場など5件あった。つまり、食品工場などでは逆に12年度のほうが10件と2倍に増えている。

 この22年間、食品工場の設備も更新され、さまざまな食の不祥事騒動が起こるたびにそれを教訓として食品工場はゴキブリ対策に取り組んできたはずであった。しかし、実際にはそうではなかったと考えるしかない。つまり、ぺヤングと日清食品冷凍の危ない食品事件は起こるべくして起きた、と言えそうだ。ともあれ消費者としては、特にゴキブリは汚物も食べる「病原菌の運び屋」という点を頭に入れておきたい。
(文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト)

【編注1】産経新聞2014年12月12日付

【編注2】内田芳裕・静岡大学農学部ら「食品工場へのクロゴキブリの侵入経路の推定」(ペストロジー学会誌6<1>:22-24/91年)

【編注3】東京都福祉保健局「食品衛生関係苦情処理集計集(91~2012年度)」

【参考】食品産業センター「食品事故情報告知ネット」、名古屋市「農薬・殺虫剤等薬剤の適正使用マニュアル」、千葉市「ゴキブリの生態と防除法」、東大阪市「ゴキブリについて」、シー・アイ・シー「ゴキブリの種類と生態」など

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