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片山修「ずたぶくろ経営論」(12月30日)

タカタとホンダ、不具合放置しリコール連発、死亡事故過少申告 安全意識不十分か

文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
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 しかしながら、そうした事情は米国市場で自動車ビジネスを展開する以上、想定しておくべき事柄だろう。それは、トヨタの品質問題の際にも教訓として指摘されたことである。残念ながらタカタもホンダも今回、その教訓を生かすことができなかった。思わぬ事故や不祥事が発生した場合、事態を正確に把握し、適切な対応をとらなければいけない。そして、最も避けなければいけないのは、事態を放置することや責任逃れをすることである。これは、リスクマネジメントの常識といっていい。タカタとホンダは、どのような行動をとってきたのか。

●初動対応の失敗

 タカタは、エアバッグ製造でスウェーデンのオートリブに次ぐ世界2位の自動車部品メーカーだ。世界20カ国に工場を持ち、4万人を超える従業員を抱えるグローバル企業である。そのルーツは1933年、滋賀県彦根市に織物業として創業したことにさかのぼる。
 
 80年代にホンダと協力して「レジェンド」搭載のエアバッグを製造したのがエアバッグ事業の始まりで、その関係からホンダは同社に1.2%資本を出資している。現在、創業家3代目の高田重久氏が会長兼最高経営責任者を務め、株式の過半数を創業家が保有する同族企業である。
 
 その高田氏はいまだ公聴会に出席していないばかりか、記者会見を開いて謝罪してもいない。12月18日付日本経済新聞紙上で初めてメディアのインタビューに応じ、「深くお詫びする」とコメントしたものの、十分な説明責任を果たしてはいない。リコールの拡大に消極的で対応が後手にまわったことが、タカタへの不信を広げているのは間違いない。リスクマネジメントにおける初動対応の失敗といっていい。

 実際、タカタが最初にエアバッグの不具合に気づいたのは05年にもかかわらず、タカタ製エアバッグ装備最大手のホンダがリコールに踏み切ったのは、事故発生後の08年である。対応になぜ3年もかかったのか。検証されるべきだろう。

 もっとも、タカタがリコールに積極的に出なかったのには、次のような事情が存在する。リコールは、もともと完成車メーカーが実施するもので、部品メーカーが前面に出て勝手にはできない。第一、部品メーカーはクルマの顧客名簿をもっていない。タカタが煮え切らない態度をとってきたのは、そのことと無関係ではない。

 しかし、それがルールだとしても、ユーザーにしてみればそれは“身内の論理”にすぎない。ましてや事は安全に関わる事柄だけに、リコールに消極的だったことが責められるのは当然だ。

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