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片山修「ずたぶくろ経営論」(12月30日)

タカタとホンダ、不具合放置しリコール連発、死亡事故過少申告 安全意識不十分か

文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
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 現状では、発煙筒のように車検の際の交換義務はない。しかし、今後の状況によっては、エアバッグについても定期的に交換すべきかどうか、自動車業界として対応策を検討する用意のあることを示した。かりにも、化学物質についての知見不足が、自動車メーカーが問題の波及を防げなかった原因とすると、自社にない知見をどう補完していくかが、今後の課題となってくる。

 池氏によると、ドイツでは産官学全体で知見の共有がなされているという。実際、ドイツでは、大学の知見を実業に生かす文化が徹底しているという話はしばしば耳にする。

「社会問題を契機にして、ネガティブリスクを減らしていくために、ドイツのように『産官学』が協力して先進の安全技術などの知見を得られるようにしていくのが大切ではないかと思います」(同)

●製造業全体がぶつかっている課題

 品質トラブルの防止に秘策はない。現代のように安全への意識が高まり、人々がリスクの排除に躍起になればなるほど、企業は品質トラブルに対して慎重にならなければいけない。とりわけ、グローバルに広がった企業活動は、どこに落とし穴があるかわからない。

 トヨタが米国で品質問題を起こす10年ほど前だったろうか、同社の広報役員から「トヨタのように世界中でビジネスをしていると、何が起こるかわからない。まるで塀の上を歩いているようなものです。いつ、転げ落ちるかわからないですからね」と、聞いたことがある。グローバル企業は、どこで何が起こるかわからぬ恐怖と、つねに戦っていかなければいけない。メーカーは、これまで以上の重い負担がのしかかっていることを覚悟しなければいけないのだ。現代のリスクマネジメントの要諦である。果たして、その覚悟がタカタにあったのか。また、ホンダはその覚悟をどこかに忘れてきてしまったのではないか。

 それから考えておかなければいけないのは、今日安全のリード役は、企業ではなく消費者であるということだ。トラブルが起きた時、何が問題かを決定するのはトラブルを起こした当事者ではなくて社会だということだ。エアバッグの欠陥問題は、「“個社”の問題を超え、社会問題化している」と池氏が自工会の記者会見の席上で懸念を示したのは、まさしくそのことを意味している。

 一自動車メーカーの問題を超え、社会問題となれば、問題はより複雑化する。結果、いっそう高度な対応が求められる。これは、今日の自動車業界に限らず、製造業全体がぶつかっている課題といっていいだろう。

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23:30更新
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