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安部徹也「MBA的ビジネス実践塾」第17回

電撃的スマホ参入のVAIOは、どう戦うのか?市場破壊し、業界トップになる戦略を検証

文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO
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●破壊的イノベーションとは何か

 破壊的イノベーションとは、イノベーション研究の第一人者である米ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が体系化した、イノベーションを起こす1つの手法です。

 技術革新が進めば、ある時点から顧客の必要とする機能以上の製品開発が続けられ、顧客は必要としない機能に対してプレミアム価格を支払わなければならなくなってきます。そこで、必要な機能に絞り込んだ端末を圧倒的な低価格で市場に投入することにより、これまで利用したくてもできなかった顧客や高価格に不満を抱いていた顧客を取り込むことが可能となり、マーケットシェアを急速に高めることができるようになるのです。

 既存の企業はこのような新興企業の攻勢に対して、残念ながら低価格で対抗することはできません。なぜなら、価格を大幅に下げるとこれまで築いてきたブランドイメージが傷つくことにつながりますし、さらに高コスト体質に陥っている既存企業は値下げによって赤字に転落する可能性もあるからです。つまり、既存企業は対抗したくてもできないジレンマに陥ってしまうのです。そして、結果的に破壊的イノベーターによって市場はなすすべなく破壊し尽くされ、業界地図が塗り替えられることになるのです。

【破壊的イノベーションの仕組み】

電撃的スマホ参入のVAIOは、どう戦うのか?市場破壊し、業界トップになる戦略を検証の画像2『イノベーションへの解~利益ある成長に向けて』(クレイトン・クリステンセン著)を基に筆者作成

 実際に中国ではこの破壊的イノベーションにより、まったく予期できなかった事態が起こっています。中国のスマートフォン市場では、一時期韓国サムスンが3割近いシェアを握り、圧倒的なリーダーに君臨していました。ところが、10年に設立されたばかりのベンチャー企業シャオミが中国スマートフォン市場で破壊的イノベーションを起こし、14年の第2四半期にはついにサムスンを逆転して、わずか4年で中国のスマートフォン市場でトップに立ったのです。

電撃的スマホ参入のVAIOは、どう戦うのか?市場破壊し、業界トップになる戦略を検証の画像3出典元:英Canalys

VAIOの4P戦略を検証する

 日本においてもスマートフォン市場は技術が成熟化し、破壊的イノベーションが功を奏する環境は整ったといえるでしょう。それでは、VAIOはどのような戦略で破壊的イノベーションを起こすことができるのでしょうか。

安部徹也

安部徹也

株式会社 MBA Solution代表取締役CEO。1990年、九州大学経済学部経営学科卒業後、現・三井住友銀行赤坂支店入行。97年、銀行を退職しアメリカへ留学。インターナショナルビジネスで全米No.1スクールであるThunderbirdにてMBAを取得。MBAとして成績優秀者のみが加入を許可される組織、ベータ・ガンマ・シグマ会員。2001年、ビジネススクール卒業後、米国人パートナーと経営コンサルティング事業を開始。MBA Solutionを設立し代表に就任。現在、本業にとどまらず、各種マスメディアへの出演、ビジネス書の執筆、講演など多方面で活躍中。主宰する『ビジネスパーソン最強化プロジェクト』には、2万5000人以上のビジネスパーソンが参加し、無料のメールマガジンを通してMBA理論を学んでいる。

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