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スカイマークの旅客機(「Wikipedia」より/坂部 秀治<G-TOKS>)
昨年12月、欧州エアバス社が超大型機「A380」の売買契約をめぐり、英国の裁判所への訴訟準備を始めるとスカイマークに通知した。スカイマークが発注した6機のキャンセル料は最大7億ドル(840億円)に上る可能性があるという。これは15年3月期の同社の年間売上高予想880億円にほぼ匹敵する金額だ。 一方、スカイマークの同期業績も急速に悪化している。売上高こそ前期(860億円)からあまり変わっていないが、経常利益は前期の4億円の赤字から122億円の赤字へ悪化する見通しである。
加えて、ゴーイング・コンサーン(企業存続)の最大の指標となるキャッシュ・フローがとてもおぼつかない。12年3月末に306億円あったキャッシュが14年9月末には45億円まで減り、なお減少傾向が続いているという。同期間で毎月10億円近くのキャッシュが減少したので、この年末には同社の懐は「すっからかん」に近くなったと見るべきだろう。すでに設備や機器の売却を始めたとも報道されている。
●西久保社長の即断即決
この不調の契機となったのが、前述のエアバスA380機の発注である。
「当初、エアバスはA320をスカイマークへ売り込んでいたが、社長の西久保がエアバスのカタログに掲載されていたA380に興味を持ち惚れ込んだことから発注につながったという」(「エアライン」<イカロス出版/14年10月号>記事より)
スカイマークの主要機材はボーイング737で、その座席数は177席である。A380は最大853席という巨大機だ。10年に同社は4機を発注したが、翌11年に西久保氏はパリの航空ショーで同機のデモフライトを見て、2機の追加発注を即断したという。6機で計1950億円、年間売上高の2倍を超える発注行為を役員会の事前承認もなしに決行してしまった。まことに短慮だったというべきであろう。もっとも、西久保氏は同社の最大株主でもあるので、同社のガバナンス的には役員会に諮っても同じことになったであろうが。