
食品へのゴキブリやビニールの混入、商品回収は必要ない 客が要因のケース多数
1月7日、日本マクドナルドホールディングス記者会見の模様(撮影=山本宏樹)
同じく昨年12月には、日清食品冷凍の冷凍パスタの具材(野菜)にゴキブリと思われる虫が混入していたことを受け、同社は約75万食を回収すると発表。さらにまるか食品もカップ焼きそば「ぺヤング」のゴキブリ混入問題で生産休止と商品回収に至っている。
このように、食品への異物混入事件、及びそれに関する消費者から企業へのクレームが相次いでいます。その背景には、携帯電話のカメラなどで証拠写真を簡単に撮影でき、インターネット上で誰でも情報発信できるようになったため、以前では一部の人しか知りえなかった情報を多くの人が入手できるようになったことが大きいと思います。
食品工場へのクレームは、管理が行き届いた工場で100万パック製造して1件以下のクレームの発生率、即ち1ppm(パーツ・パー・ミリオン)以下の発生率になります。管理が行き届いた工場でも、クレームをゼロにすることは非常に難しいのです。異物混入防止の面では、金属検出機やエックス線探知機で検出ができる大きさの金属異物の入った製品は、市場に出荷してはいけません。確実に検出機で問題のある製品を排除すべきです。「ぺヤング」に混入していたとされるゴキブリなどの虫の混入は、確実な工場管理を行えば必ず防ぐことができます。
●健康被害が考えられないクレーム
一方、異物混入問題を報じる側のメディアは、入ってはいけない人体に危害のある異物クレームが発生しているケースなのか、クレームの発生率が10ppm以上の工場管理が非常に悪いケースなのか、きちんと報道すべきだと思います。
例えば、牛丼チェーンの店舗で牛丼を頼んだ時、牛肉とタマネギの間にゴキブリの足が挟まっていたとします。どう見ても挟まっていたゴキブリの足は、熱が加わっていました。あなたは店員に対してどのように振る舞いますか。
牛丼は大きな寸胴なべで、タマネギと牛肉を煮ています。牛丼を盛りつけたどんぶりの上に煮た形跡のないゴキブリが乗っていれば、盛りつけられたどんぶりだけを廃棄すれば鍋の中は問題ないのですが、熱の通ったゴキブリの足が入っていたとすれば、鍋の中には胴体と他の足が入っている可能性があります。「ゴキブリの足が入っていました」とクレームを付け、クレームを受けた店員が同じ寸胴から再び牛丼を提供しようとしていれば、それを見た客は「その鍋からは勘弁してよ」と要求すると思います。