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中田英寿氏(「Wikipedia」より/Flickr upload bot)
「著者名をさくらさんにして彼女の自伝とすれば、ここまで大きな騒動にはならなかったでしょう。しかし、そうすると共感を得にくく、売れないと予想されます。さくらさんは世間から懐疑的な目で見られており、週刊誌でも悪く書き立てられていました。そこで、ベストセラー作家の百田氏を表に出し、人気番組の『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS系)で仲の良い夫婦像を放送することにより、情勢を逆転できると考えたのでしょう。著書や連載のある作家を叩くことは週刊誌などの業界ではタブーですから、百田氏を使えば週刊誌が批判しにくいという計算も当然あったはずです。しかし、ここまで世論の反発が高まったのは幻冬舎にとって誤算だったでしょう。SNSが発達していない一昔前なら、ここまでの批判は考えられません。百田氏がツイッターをしていたことも、火に油を注ぐことになりました」
ノンフィクションとうたいながら、実際は妻さくらさんの目線からのみで構成されている点が猛批判の対象のひとつになっている。
●カズにも大きな影響を与えた“ノンフィクション”
しかし、前出の出版関係者は「過去にも一方の当事者からのみの聞き取りで描かれた“ノンフィクション”はある」と言う。
「代表的なのは、サッカー、1998FIFAワールドカップ(W杯)のアジア予選について描かれた『決戦前夜』(金子達仁/新潮社)です。当時、マスコミの前でほとんど話さなかった元日本代表の中田英寿氏から話を聞き出し、彼の視点で描いた“ノンフィクション”でした。言ってみれば、今回の『殉愛』と同じ手法です」(同)
W杯予選中に不動のエースだった三浦知良(カズ)が不調に陥り、当時20歳の中田がその座を奪ってW杯初出場への原動力となったが、同書には、その中田のカズ批判ともいえる発言がいくつも書かれている。また、「ジョホールバルの歓喜」といわれたアジア第3代表決定戦のイラン戦で、中田が蹴るはずのゴール前のフリーキックをカズが勝手に蹴って大きく外した場面などがクローズアップされ、確実にカズへのネガティブイメージが植え付けられた。