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新井庸志「マーケティングを知れば世の中がわかる」(1月22日)

ディズニーランド、「夢の国」に「現実」取り入れ“安売り”開始か ブランド低下の懸念も

文=新井庸志/株式会社ホワイトナイト代表、マーケティングコンサルタント

 関西圏だけをターゲットにしていたUSJが、商圏や顧客ターゲットをどんどん広げて人気を高める中、オリエンタルランドも少なからず意識せざるを得ない状況になったのだろう。もちろんディズニーランドの入園者数は高い水準をキープしている。ただ、これまで圧倒的なナンバーワンの存在だったからこそ、将来に向けて一抹の不安を感じ、またUSJから学ぶべきものは学ぼうという意識がオリエンタルランドに働いてもおかしくはない。

●ディズニーランドとUSJの決定的な違い

 ディズニーランドのコンセプト「夢の国」に対して、USJのコンセプトは「世界最高をお届けしたい」だ。「世界最高」という中でさまざまなコンテンツの充実を図ることができるUSJに対して、ディズニーランドはディズニーという一コンテンツで充実を図らなければならない。ただ、この非現実的な世界が徹底されているからこそ、ディズニーランドは唯一無二のテーマパークであったのだ。そこではミッキーも、ミニーも、アリエルも、架空のものではない。来場者と同じ世界のものなのだ。来場者は心底「夢の国」にいることを楽しめる。それがディズニーランドなのだ。

 ところが「アナとエルサのフローズンファンタジー」イベント初日に、アナ雪の日本語吹き替え版の声優である神田沙也加さん、松たか子さん、ピエール瀧さん、そして歌手のMay J.さんがパレードに登場した。「声優や歌手が登場したことで、来場者も喜ぶではないか」「大したことではないのではないか」という声が聞こえてきそうだが、これはディズニーランドらしからぬやり方なのだ。なぜならディズニーランドは「夢の国」であって、現実とはできるだけ距離を置いたほうがよいからだ。だからこそ、映画版に出演した人々とディズニーランドは距離を置くべきだったのだ。マーケティング的にみれば、話題になるからという理由でディズニーの世界を安易に安売りしてはいけないのだ。

●ブランドを安売りして失敗した「なだ万」

 業界は変わるが、ブランド拡張の失敗例を挙げよう。14年、老舗料亭「なだ万」がアサヒビールに買収された。なだ万といえば日本有数の料亭だったが、バブル崩壊後に料亭の業績が悪化した。それをカバーするために「なだ万茶寮」というリーズナブルな和食店を展開したり、百貨店の食品街に「なだ万厨房」という店を展開し弁当販売を行うようになった。

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17:30更新
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