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【本と雑誌のニュースサイトリテラより】

本サイトの記事にもあったように、「イスラム国」が日本人2人の身代金要求と殺害予告を行うという衝撃的な事件のきっかけが、中東歴訪中だった安倍晋三首相の不用意な発言であることは明らかだろう。1月17日にエジプトで開かれた「日エジプト経済合同委員会」で、こう述べたのだ。
「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISIL(アイシル)がもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に総額で2億ドル程度、支援をお約束します」
日本政府は2人の日本人が「イスラム国」に拘束されていることは知っていたはずである。それを考えると、あまりに不用意としか言いようがないが、いまはそんなことを言っている場合ではない。「イスラム国」が設定したタイムリミットが刻一刻と迫っているからだ。
《汝の敵を知れ》という格言がある。
「イスラム国」とはいったい何者なのか。日本のメディアは「イスラム国」の前に必ず“イスラム過激派組織”という枕をつける。欧米の専門家の多くは「イスラム国」をタリバンと同じ時代錯誤の過激派組織だと考えている。安倍首相やアメリカ政府が「イスラム国」(英語の略称はIS)という名称でなく、わざわざ旧名称の「ISIL」を使うのは、「イスラム国」があくまで武装組織だと強調したいからだという。だが、本当にそれでいいのだろうか。