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パーク24、カーシェア業界で突出の高収益の秘密 非常識な戦略で高い稼働率とコスト競争力

文=福井晋/フリーライター
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 現在、カーシェア事業参入事業者は30社前後と見られているが、事業黒字化に向け車両数、ステーション数、会員数などの増加でしのぎを削っているのは10社程度とみられている。このうち500カ所以上のステーションを有しているのはパーク24(5874カ所)、オリックス自動車(1318カ所)、三井物産系のカーシェアリング・ジャパン(776カ所)の3社だけで、実質的に大手3社の寡占市場といえる(数字はいずれも14年9月現在/「カーシェアリング比較360°」調べ)。

 カーシェアを事業化するためには、一般に「会員獲得、車両、ステーションの3要素が不可欠」といわれている。また、会員獲得に先だって車両とステーションの事業インフラを整備しなければならない先行投資型ビジネスであるため、事業を黒字化するまでに時間がかかる。このうち「事業を黒字化する最大のネックがステーション開発」(カーシェア業界関係者)だ。

●カーシェアのニーズは“タクシー代わり”

 レンタカーとカーシェアの基本的な違いは利用時間にある。レンタカーは半日か1日、あるいは2日~1週間などの単位で利用するのに対して、カーシェアは15分単位で利用するのが一般的だ。利用目的は「ホームセンターや家電量販店で大きなものを買う時」「通院や通学の送迎」「旅先で観光スポットを巡る時」「帰省先での移動」「出張先での移動」などが大半。要するに「タクシー代わり」がニーズといえる。

 実際、パーク24の会員アンケート調査でも、予約のタイミングが「前日26%、当日45%、ほぼ直前70%」(重複回答)などとなっており、タクシー代わりの実態をうかがわせている。

 一方、住友信託銀行(現三井住友信託銀行)の「調査月報」(09年7月号)では、「カーシェアリング普及要件」の1つに「人口密度が高いこと」を挙げている。その理由は「カーシェアは半径300m以内に一定数の会員がいる必要がある。15分や30分の車利用のためにステーションまで300m以上も徒歩移動する利用者はまれ」だからだ。

 これらの条件を踏まえると「低コストのステーションを、いかにしてタクシー代わりの潜在需要がある地域に開発するか」が、カーシェア事業の赤字・黒字の分かれ目になるといえる。「魚のいない池に釣り糸を垂れても魚は釣れない」からだ。

 では、なぜ日本のカーシェア事業のパイオニアであり、資金的にも市場調査能力的にも優れたオリックス子会社のオリックス自動車がいまだ赤字から脱却できず、後発の企業規模でもオリックスと雲泥の差があるパーク24が黒字化できたのだろうか。

●同業他社が欲しがる独自のマーケティングツール

 パーク24が「魚のいる池」(潜在需要地域)を探し当てるセンサーにしているのが、全国駐車場オンライン管理システム「トニック(TONIC)」だ。同システムに関しては、すでに多くのメディアがそれぞれの視点から詳しく報じているので、ここでは詳細を省く。ただ、既存報道があまり触れていない点がある。それはシステムの特異性だ。

 情報システムを開発する場合、まず基幹システムを開発し、その後でアプリケーションの各種管理システムを開発するのが普通だ。つまり管理系情報システムは基幹システムの端末的位置付けになる。

 ところが、トニックはまず駐車場のサービス向上を図るための管理システムとして開発し、その後で基幹システムを管理系情報システムの支援システムとして開発した経緯がある。一般の情報システムと発想が逆で、管理系の位置付けも逆だ。これについて情報システム開発関係者は「トニックは小売業のPOS(販売時点情報管理)システムと同じ機能を備えた、時間貸し駐車場のマーケティングツールだ」と指摘する。

 セブン-イレブン・ジャパンがPOSシステムを駆使して成長してきたことはよく知られている。単品ごとの売れ行きを的確に把握できるようになったことで時間帯ごとの来客数とその消費行動を予測し、それに合わせた品揃えをすることで収益力を高めてきた。

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