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相続、遺言書でかえって大モメ?遺産が他人へ?やっかいな“後妻相続”問題

文=鈴木暁子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会
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●家族信託で、自分の思いを実現させる

 このように遺言書では、一次相続で自分の思いを実現できても、それ以降のことまで指示することはできない。しかし今は後妻の死亡後まで含めた計画を実現することが可能だ。それは家族信託を利用するのだ。従来、信託免許を持っていなければ信託を受けることはできなかったが、07年の信託法改正により、家族による信託も可能となった。

 信託では、信託を依頼する「委託者」、信託を受託する「受託者」、利益を受ける「受益者」の存在がいる。信託財産(例えば、委託者の自宅など)の所有権を受託者に移し、信託財産を運用することなどで得られる利益を受益者のものとする制度だ。

 つまり自宅の所有権を子に移し、男性の家系に承継させる一方、後妻を受益者とすることで後妻は生きている間、安心してそのまま暮らすことができる。

●税対策よりモメない相続対策を

 ただし、子や子の配偶者が実家とは別に自宅を保有していると、親から実家を相続しても小規模宅地等の特例は使えなくなることに注意が必要だ。実家の評価額などによっては、相続税が課されることもあるだろう。しかし、男性の思いは実現できるのであれば、相続税を払ったとしても価値のある方法といえるのではないだろうか。今回は個人の事例を挙げたが、事業承継でもこの方法が有効となるケースは多いはずだ。

 税対策ありきで相続を考えると、法律に縛られがちになる。まずは自分の亡き後、さらにその先まで家族にはどうあってほしいのかを考え、整理してみるのが重要だ。そしてそれを実現するには法律なのか、遺言書なのか、あるいはほかの方法があるのかを検討していくのが賢明ではないか。
(文=鈴木暁子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会)

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