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怖すぎるマンション購入の話 発生し続けるコストや手間、失敗するエリア選びの罠

文=松井克明/CFP

●将来の地価予想

 では、エリアをどうやって見極めるか。同書ではポイントとなるデータを紹介している。その中から、今回は不動産専門のデータバンク・東京カンテイの築10年中古マンション駅別「リセールバリュー(再販価格)」を一部、ご紹介したい。

 リセールバリューとは、当時の新築マンション価格とそのときどきの築10年の中古マンション価格を比較した指標で、100を上回れば、築10年の中古を売った場合に10年前の新築価格を上回り、売却差益が出ることになる。100を下回れば、築10年の中古を売った場合に10年前の新築価格を下回り、売却差損が出ることになる。通常は、中古になれば、中古価格となるために下落し、リセールバリューは100を下回ることが多い。ただし、資産価値が高まれば、中古価格であっても、新築価格を上回り、リセールバリューは100を上回るのだ。

 なぜ、築10年の中古かといえば、10年たてばそれぞれのマンションの魅力よりも、そのエリア本来の力が見えてくるからだ。

 例えば、2014年のリセールバリューが「133.6」と高い値を示すのは、東日本旅客鉄道(JR東日本)山手線の「品川駅」だ。中古でも売却差益が出る可能性が高い(もちろん、個別物件の事情によるので断定はできない)。なお、2年前の12年のリセールバリューは「88.5」で売却差損が出かねなかったが、駅周辺再開発とリニア中央新幹線の具体化で、エリアの魅力が高まっている。総じて、リセールバリューが100を上回るのは、東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)と、その他人気エリア(JR中央線・吉祥寺駅など)になる。

 一方で、14年のリセールバリューが「82.8」と低くなっているのは、JR総武線の「幕張本郷駅」だ。12年のリセールバリュー「95.9」から「13.7%減」となっている。マンション乱立のうえ、東日本大震災時には液状化現象に見舞われた物件もあり、不動産関係者の間でも今後を懸念しているエリアだ。不動産選びの参考にしていただきたい。

 なお、現在、筆者は都心部の賃貸マンション住まいである。20年以降の地価下落と直下型大震災のリスクが大きいと考え、中古分譲から引っ越してきた。この生活になって気がついたのは、行き帰りに電車に乗らなくていいというのが、最もストレスフリーだということだ。終電も気にせず働ける……それがいいことなのかはさておき。
(文=松井克明/CFP)

松井克明/CFP

松井克明/CFP

青森明の星短期大学 子ども福祉未来学科コミュニティ福祉専攻 准教授、行政書士・1級FP技能士/CFP

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