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経産省の再生エネ政策、実質破綻 途方もない消費者負担前提、不透明な制度の欠陥露呈

文=福井晋/経済ジャーナリスト
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「電力消費者の途方もない負担を前提に設計された」(エネルギー業界関係者)といわれるFITは、どのような経緯で制定され、実際はどのような問題を内包しているのだろうか。

●買取価格の査定法に問題

 電力系シンクタンク研究員は「FITが『欠陥制度』と言われる理由は、買取価格の設定にある」と、次のように説明する。

 再生エネの買取価格は有識者5名による「調達価格等算定委員会」が「買取価格・買取期間についての意見」を経済産業大臣に提出し、大臣が「その意見を尊重する」かたちで年度ごとに設定される。ところが「買取価格の査定法に問題がある」(前出研究員)。

 買取価格は、再生エネ発電事業者が運転開始時に資源エネルギー庁に提出する「発電設備設置・運転費用年報」(以下、年報)に基づくコストデータに「適正な利潤」を加えて自動的に算定される仕組み。ところが、不思議なことにこのコストデータは算出根拠を示さなくてもよいことになっている。つまり、コストデータの計算諸元は不明なので、第三者による再現が不可能になっているのだ。このため、業界団体や再生エネ発電事業者の言い値が、算定委の買取価格査定にほぼそのまま反映される仕組みになっている。

 結果として、FIT実施初年度(12年度)の場合、再生エネ電源16種類の買取価格は事業者や業界団体の言い値をそのまま採用したのが10種類、事業者希望価格に少しプラスした価格が2種類に上った。

 また、例えば12年度の非住宅用太陽光発電の場合、システム価格32.5万円/kWhを基に「適正な利潤」を加えた40円/kWhが買取価格と査定された。13年度は年報のシステム価格が28.0万円に下がったことから、買取価格は36円/kWhと査定された。同様の理由で14年度の買取価格は32円/kWhと査定されている。

 買取価格は年々下がり続けているが、それでも14年度の32円は、ドイツなどFIT先行国と比べると2倍以上の高水準になっている。その原因は前述の不可解な査定法にある。前出研究員は「再生エネ発電普及により再生エネ発電のコストダウンを促すというFITの政策目的は、不透明な買取価格査定法により実施当初から有名無実化していた」と指摘する。

●費用対効果が極めて悪いエネルギー政策

 FITの欠陥はそれだけではない。再生エネ専門家は「FIT実施で決まったのは、買取価格と電気代上乗せだけ。本来は再生エネ普及に向けたインフラ整備も決めなければならなかった。とりわけ、出力が不安定な太陽光発電を恒常的な電源にするためには、大容量蓄電池の開発が不可欠。ところがFIT制定に向けた国会審議では、蓄電池問題が実質的に無視された」と振り返る。そして「こうした制度的欠陥が、FITを費用対効果が極めて悪いエネルギー政策にしている」と、次のように指摘する。

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