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経産省の再生エネ政策、実質破綻 途方もない消費者負担前提、不透明な制度の欠陥露呈

文=福井晋/経済ジャーナリスト
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 FIT実施前に行われていた通称RPS制度では、再生エネ発電1kWh当たりの補助額は平均5.8円(10年度)だった。それがFITでは平均27円と4.7倍にも跳ね上がっている。その結果、CO2削減が1トン当たり5-8万円もかかる非常に高価な温暖化対策にもなっている。

 FITがこのように費用対効果が悪いエネルギー政策になっている理由は、制度に効率性の観点が欠落しているため、他の再生エネ電源と比べて最も発電効率が悪く、したがって最も割高な電源の太陽光発電に事業参入が集中していることにある。費用対効果が最悪の発電事業に参入が集中したのは、FITが事業経費と利潤を保証しているからにほかならない。そのツケを消費者がすべて負わされている。

●関連業界に広がる困惑

 

 事態を重視した経産省は、「再生エネの発電量が送電網の能力を上回った場合は、大手電力が買取量を制限できる」ことなどを盛り込んだFITの新運用ルールを1月中旬
から実施開始した。

 これで大手電力は今年から太陽光発電の無制限買取義務が免除されたことになった。一方、「参入すれば必ず儲かる」保証がなくなった太陽光発電事業関係者たちの間には困惑が広がっている。

 大分県内で太陽光発電施設の建設・保守を手掛ける事業者は「買取制限をかけられると、太陽光発電事業計画を中止する客が急増する。今の事業から撤退しなければならない」と肩を落とす。太陽光発電の売電収入をウリに建売住宅を売っている福岡県内の工務店は「売電収入をローン返済の一部に充てる計画を立てられるのが『太陽光発電付き住宅』のメリットだった。今後は、このセールストークが使えなくなる。売上激減が避けられない」と途方に暮れる。

 当然、再生エネ発電事業の中核になっているメガソーラー(大規模太陽光発電所)事業者も動揺している。例えば、福島県内の事業者は「仮に送電網接続を2カ月止められたら利益が吹っ飛ぶ。電力会社の買取額が毎月変わるようになると、事業見通しが立たなくなる」と、急なFIT運用変更に憤慨している。

 自治体にも影響が出ている。千葉県企業庁関係者は「事業中止を検討せざるを得ない」と、ため息をつく。同庁は県内市原市の山倉ダムの水面約18haに筏方式のメガソーラー建設事業を計画していたが、必ず儲かる保証がなくなった今、この事業応募者が集まらない可能性が高まってきたからだ。

●合法的談合システム

 こうした太陽光発電事業関係者たちの困惑に対して、前出の再生エネ専門家は次のように指摘する。

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