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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

日本経済、今年半ばから確実に活況へ 家計収入と実質賃金アップ、雇用者数と輸出も増

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト
日本経済、今年半ばから確実に活況へ 家計収入と実質賃金アップ、雇用者数と輸出も増の画像1「経済産業省HP」-「鉱工業(生産・出荷・在庫)指数速報」-「鉱工業生産・出荷・在庫・在庫率指数の推移」

●成長加速が期待される日本経済

 昨年4月の消費税率引き上げ以降、日本経済はマイナス成長となり、特に個人消費はいまだに影響を引きずっている。しかし、鉱工業生産指数等、先行きを占うデータは昨年末頃からかなり勢いよく持ち直し始めている。この指数は経済成長率と密接に関係しているため、少し割り引いて3月は生産が横ばいになると仮定しても、今後経済成長率はかなりプラスに加速すると見込まれる。

 生産が大きく戻った理由としては、消費はともかく設備投資が非常に好調なことがある。事実、設備投資より1四半期ほど先を行く機械受注は昨年7-9月からV字回復している。これがGDPに反映されれば、昨年10-12月の経済成長率は大きく上向くはずである。

 また、設備投資以上に期待されるのが、輸出の伸びである。輸出は昨年末あたりからアジア向けを中心に大きく戻している。背景には、アジア経済自体はさほど良くないが、アジアからアメリカへ向けての輸出が非常に増えていることがある。アメリカ経済が昨年後半から力強い回復を示す中で、アメリカの需要増がアジアの輸出を増やし、それが日本から部品等の輸出を増やしていると考えられる。

 今年も引き続きアメリカ経済の拡大による輸出増加が期待されるが、それに原油価格の下落が加わって、アジア経済も若干持ち直すことが期待される。原油価格があまりにも下がりすぎたために、資源国のデフォルトやエネルギー関連企業の経営破たん等を懸念してマーケットは過剰に反応しているが、世界の経済規模から見ると7割以上は原油の純輸入国になるため、原油安そのものは世界経済的にはプラス材料となる。特に原油を大量に輸入するアジア経済においては大きくプラスに効いてくるため、アジアを最大の輸出先とする日本では、さらに輸出の押し上げ効果が高まるはずである。

 さらに、異常な円高が是正されたことで、昨年後半あたりから日本の製造業に国内回帰の動きが活発になってきていることから、今年は輸出の伸びが相当増えるのではないかと期待される。

 また、財だけではなく、サービスも含めた輸出を見ると改善が明確となっている。企業の技術革新によって特許権の使用料収入が増加していることもあるが、円安や観光ビザの発給緩和により、外国人観光客が増加していることがその最大の理由である。昨年の訪日観光客数は1300万人を突破したが、昨年12月にはインドネシア人向け、今年1月には中国人向けの観光ビザの発給要件緩和も進んでいるため、今年は1500万人を突破しても不思議ではない。

●アベノミクスの効果について

 
 個人消費については消費税率引き上げのダメージがまだ残っているが、家計に関連するデータを調べると、家計は確実に潤っていることが確認できる。アベノミクスが始まってからこの2年で、家計の金融資産は140兆円以上も増えている。中でも株価は2年で2倍になり、家計の株・出資金も50兆円以上増えている。

永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。
第一生命経済研究所の公式サイトより

Twitter:@zubizac

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