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ブラック企業アナリスト・新田龍「あの企業の裏側」(2月13日)

急増するクレームストーカー 謝罪要求口実に女性店員につきまとい なぜ対応難しい?

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 調べていくと、クレームストーカー問題に対する専門家のアドバイスは、主に以下のようなものになる。

・適切な法律知識を身につけた担当者を配置し、毅然とした対応を取る
・クレームストーカーに対する対応マニュアルを整備し、従業員に徹底する

 しかし、これだけでは安心できないという企業経営者や店主、そして被害者はどうしたらいいのだろうか。企業向けの危機管理コンサルティングを手がける平塚エージェンシーの平塚俊樹社長は、こう述べる。

「解決の一番のポイントは、会社がコンプライアンスの枠を超えて、社員個人に弁護士をつけることです。そうしないと、クレームストーカーの餌食になってしまいます。彼らに近づかないよう要求できるのは、法定代理人になれる弁護士しかいません。しかし、法律で判断すると、こういったケースは会社の事件ではなく個人の事件になってしまいます。そうすると、被害者個人が弁護士に依頼する必要があるのですが、それは費用的にも時間的にも不可能です。だから、会社がコストをかけて弁護士に依頼し、クレームストーカーに対して『今後一切の連絡を禁止、要件は文書にて当方へ』と通知するしかないのです」

 しかし、ここで現実的に厳しい問題がある。それは、このような案件を引き受ける弁護士が少ないということだ。

 弁護士にとって、この手の案件は対処に手間がかかり、自らも危険な目に遭う(クレームストーカーから逆恨みされ、今度は弁護士個人がクレーム対象になってしまうなど)リスクが高く、積極的に受けたい仕事とはいえない。

 そういった問題に対して、平塚氏はこうアドバイスする。

「実際には、依頼されて着手金を受け取った後は、何も対策をしない弁護士もいるようです。大切なのは、普段から弁護士個人といい関係を築いておくことです。いきなり訪ねてややこしい案件を持ちこんでも受任されないので、毎月の費用を払って顧問契約を結んでおくことです。言い方は悪いですが、彼らに恩を売っておけば、いざという時に頼りになります。つまり、日頃の人間関係が大事ということです」

●問われる企業側の姿勢

 会社にとっては、こういった問題にどれだけ力を尽くして対応できるかによって、その危機管理に対する評価も変わってくるだろう。

 社員が業務中に事件に巻き込まれてなんらかの被害を受けた場合、会社は「従業員に対する安全配慮を怠った」として、損害賠償の責任が生じるケースもあるからだ。

 一方で、こんな話もある。全国で顧客向けサービスの対応評価を行う、とある機関の会合の席でのことだ。参画企業の面々は「地方では景気が悪いといわれているのに、地元勤務の顧客対応オペレーターを募集しても誰も応募してこない」と愚痴をこぼしていた。しかし、その中で唯一、そういった求人に応募が殺到している企業があった。当該企業の担当者は、その理由を聞かれてこう答えたという。

「『クレーム対応は担当業務から外す』という条件をつけただけです」

 クレームへの対応が、いかに従業員のストレスとなっているかがわかるようなエピソードである。その上、クレーマーがストーカー化してしまっては、たまったものではないだろう。社会問題となりつつあるクレーマーおよびクレームストーカーへの対応は、企業にとって喫緊の課題といえそうだ。
(文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト)

新田 龍(にった・りょう):株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト。
早稲田大学卒業後、「ブラック企業ランキング」ワースト企業2社で事業企画、人事戦略、採用コンサルティング、キャリア支援に従事。現在はブラック企業や労働問題に関するコメンテーター、講演、執筆を展開。首都圏各大学でもキャリア正課講座を担当。

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