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物流崩壊の危機?経済全体に大打撃も 深刻なドライバー不足、救世主に浮上の貨物列車

文=小川裕夫/フリーランスライター
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 JR貨物にとって不運だったのは、国鉄時代に全国の隅々まで敷設されていた線路が、赤字を名目に次々に廃止されたことだ。加えて、都心部にあった汐留貨物駅、飯田町駅といった貨物ターミナル駅が廃止されたことも大きかった。

 05年頃、逆境にあえぐJR貨物の巻き返しが始まった。地球温暖化が社会問題として浮上し、トラック輸送より二酸化炭素排出量が少ない鉄道貨物や船舶輸送にスポットライトが当たったことが要因だった。二酸化炭素の削減を大義名分として、国土交通省や環境省は“モーダルシフト”(輸送手段の転換)を推進し、運送事業者もすぐに反応した。04年には佐川急便が世界初の貨物電車、スーパーレールカーゴの運行を開始している。

「スーパーレールカーゴは二酸化炭素削減が叫ばれる中、環境問題を考えて運行を始めました。今般のトラック業界の人手不足まで想定していたわけではなかったのですが、結果的には人手不足問題の解消にも一役買っています」(佐川急便)

 佐川に刺激されるかたちで、06年にはトヨタ自動車が愛知県の工場からトヨタ自動車東日本岩手工場がある岩手県まで自動車部品を輸送する貨物列車、トヨタロングパスエクスプレスの運行を開始した。

 日本を代表する大企業であるトヨタが部品輸送に貨物列車を選択したことは、物流業界の大きなターニングポイントとなった。二酸化炭素削減から始まった鉄道貨物への回帰は、大きな副産物をもたらしたのである。

「原油高は事業者の経営に大きく響くのです。トラックから鉄道貨物へのシフトには、いわば原油価格に左右されない、物流を安定させるという意図もありました」(国土交通省幹部)

 現在、原油価格が下落しているのでトラックの燃料費はあまり心配されていないが、当時はシェール革命前で中東情勢も不安定だった。石油価格の影響を受けにくい鉄道貨物へシフトすることは、リスクヘッジの観点からも推奨された。

●JR貨物の輸送力増強策

 そうした要因のほかに、JR貨物の経営努力も見逃せない。鉄道貨物不要論が広がっていた92年前後から、JR貨物は輸送力増強策に着手している。貨物列車は編成を長くすれば大量輸送ができるようになり、輸送効率は高まる。長大編成を可能にするには荷降ろしのできるコンテナホームの延伸や、旅客列車と入れ違いができる待避線の増設をしなければならない。JR貨物はこれら増強策を一気に進め、26両編成の貨物列車の運行を可能にした。

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