だが30分単位といえども新電力が同時同量を達成するのは難しく、通常は需給バランスの崩れを大手電力会社が補っている。具体的には、新電力会社の発電量が不足した時は大手電力が自社の発電量を増やし、新電力の発電量が超過した時は大手電力会社が自社の発電量を減らして超過分を吸収している。新電力会社が大手電力会社へ前日に通告した需給計画が3%以上ずれた場合、新電力会社が大手電力会社へ弁償的に支払うのが「インバランス(発電量と電力消費量の差)料金」だ。

 新電力会社にとってインバランス料金支払いは大きな経営コストとなる。「30分同時同量」の達成頻度が新電力会社の収益性を左右する。特に出力が不安定な太陽光発電や風力発電を電源にしている新電力の場合は、インバランス料金を支払う頻度が高く、経営黒字化のネックともいわれていた。このネックを解消しようと、00年の電力小売事業一部自由化に伴い導入されたのがバランシンググループだ。

 バランシンググループでは、代表契約者となる新電力が複数の新電力を統括することにより、各新電力が発生させたインバランスを調整し、30分同時同量を仮想的に達成し、インバランス料金を最小化する仕組みだ。バランシンググループの規模が大きくなるほどスケールメリットによってバランシング(需給調整)がしやすくなり、電力市場で代表契約者の競争力が強まるといわれている。ソフトバンクが全国各地でメガソーラー拡大を急いでいる背景はここにある。

「北海道から沖縄まで『ソフトバンクソーラーパーク』を張り巡らすことにより、各地域のバランシンググループの代表契約者となり、『代表契約者ネットワーク』の構築により新電力の覇権を握るのが狙い」(エネルギー業界関係者)

●小売の覇権目指す楽天

 インバランス料金の最小化を図る手法がもう1つある。「部分供給制度」だ。これは一電力消費者に対し、新電力会社と大手電力会社が個別に電力を供給する制度のこと。同制度も前述の電力小売事業一部自由化に伴い、経産省と公正取引委員会が共同で策定した「適正な電力取引についての指針」(1999年12月公表、11年9月最新版に改訂)により導入された。同制度に基づく契約内容を「基本消費量を新電力会社から、変動消費量を大手電力会社から購入」とすれば、新電力会社にとっては需要予測外れのリスクを減らせるメリットがあった。
 
 ところが消費者側は新電力会社、大手電力会社など複数の電力会社と個別契約しなければならず、事務手続きやそのコストが増えるなどもあり、同制度採用例は2件しかなかった(1件目は04年に、2件目は06年にそれぞれ終了)。この欠点を補うため、電力卸取引のエナリスが考案したのが「部分供給制度」と「電力代理購入サービス契約」(消費者に代わり複数の電力会社から電力購入を請け負うサービス)の組み合わせによる「電力供給ワンストップサービス」といわれている。

 これに着目したのが楽天だ。同社はまず13年6月にエネルギーサービス、楽天エナジーを立ち上げ、同年12月に楽天エナジーの新サービスとして「電力マネジメントサービス」を開始、電力事業に本格参入した。同サービスは楽天エナジーが消費者の電力代理購入契約者となり、「部分供給制度による電力調達、電気料金最適化、契約を一括代行する」というもの。

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