ビジネスジャーナル > 企業ニュース > Sharpニュース > シャープ経営危機再燃 自信崩壊  > 2ページ目
NEW

シャープ、経営危機再燃 政府支援企業が受注奪う 経営陣、“甘い自信”崩壊で責任論も

文=編集部
【この記事のキーワード】, ,

テレビ販売不振

 業績悪化の要因は、液晶パネルだけではない。テレビは主要事業の1つだが、15年3月期には100億円前後の営業赤字に沈む見通しだ。当初15年3月期のテレビ販売台数は820万台、売上高を4400億円と見積もっていたが、昨年10月にそれぞれ760万台、4000億円へと下方修正した。

 年末商戦に向けて、国内では昨年11月に液晶テレビ「アクオス」のテレビCMを3年ぶりに復活させ、フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ4Kテレビを中心にアピールしたが、販売は振るわなかった。通期販売台数は600万台まで落ち込む見込みだ。テレビ事業の営業損益は、14年9月期時点のほぼゼロから赤字へと急激に悪化した。価格が高く高収益が見込めるはずの4Kテレビは、韓国や中国のメーカーが安価な商品を相次いで投入し、価格が下落した。収益面では国内が中心だったが、価格下落と消費増税の反動減の影響が如実に出た格好だ。

 さらに急速に進んだ円安が、シャープの採算悪化に拍車をかけた。同社は冷蔵庫や洗濯機など白物家電の大半を、インドネシアや中国の生産拠点から国内に輸入して販売しているが、急速な円安で輸入価格が高騰し、利幅が圧迫された。全体の収益を下支えしてきた白物家電事業を、円安が直撃した構図だ。高橋社長は前出会見で「円安は正直に言うとしんどい」と述べており、今年6月をメドに白物家電の国内生産比率を高めて苦境を乗り切る方針だ。

●問われる経営責任

 
 シャープは経営危機を金融支援で乗り切った13年5月に、13年度(13年4月~14年3月)を初年度とする3カ年の中期経営計画を策定した。15年度の売上高は3兆円、営業利益は1500億円が目標、連結最終利益は14年度が400億円、15年度は800億円だったが、未達に終わる可能性が高い。中計の2年目の終わりに近づいた段階で計画の未達が明らかになったわけで、同社の見通しの甘さが露呈した。

 金融支援してきたメインバンクのみずほ銀行や三菱東京UFJ銀行は、中計の達成を“必達目標”と経営陣に伝えていたため、未達に終われば今後経営陣の責任問題が浮上してくるとみられる。業績の下振れで、財務は再び悪化する。自己資本比率は14年9月末時点で10.6%。5000億円を超える最終赤字を計上した13年3月期には、5%台まで低下した。その後、増資などでなんとか2ケタを回復していたが、今期最終赤字に陥れば再び10%を割り込む懸念があり、経営危機が再燃する。

 5月には抜本的な再建策を盛り込んだ新中期経営計画を公表する予定だ。液晶事業の好調を背景に13~15年度中計の数字を達成するつもりだったが、その液晶事業が揺らぎ再建策が見えなくなった。液晶はシャープの収益の柱であり、これ以外に収益の牽引役は見当たらない。

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

シャープ、経営危機再燃 政府支援企業が受注奪う 経営陣、“甘い自信”崩壊で責任論ものページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!