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鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」

特許法大転換 特許権帰属を発明者から企業へ法改正検討 個人が相当の対価を得られない懸念

文=鷲尾香一/ジャーナリスト
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 こうした方向で検討が進められていることについて、早くも発明者側からは次のような危惧が出ている。

(1)使用者と従業員の力関係により、発明した従業員が相当の対価や報奨を得られない可能性がある
(2)発明者に認められていた権利やインセンティブの法的な基盤が失われ、企業の裁量により報奨等が切り下げられる可能性があり、優秀な研究者が海外に流出する懸念がある

 発明を企業の帰属として企業の活性化と隆盛を図り、アベノミクス成功へのタネとしたい安倍政権だが、使用者との関係では従業員が弱者的立場に立つ日本企業では、特許に関する帰属が発明者から使用者に移ることは、発明者のインセンティブを減退させる可能性もある。

 ちなみに、諸外国で発明者主義を採っているのは、米国、ドイツ、韓国などで、使用者主義を採っているのは英国、フランス、中国などだ。果たして日本ではどのようなかたちが望ましいものなのか。法改正に向けた検討を通じて、十分な議論がなされることが望まれる。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

鷲尾香一/ジャーナリスト

鷲尾香一/ジャーナリスト

本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。

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