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ワーク・ライフ・ハピネス 第3回

超ハピネス企業、なぜ突然ブラック企業に転落…仕事の効率向上施策が業績悪化を招く理由

文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネス・プロデューサー
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 社員の自主性を重んじ、提案する企画を歓迎して予算も与え、利益が出れば社員全員にフェアに分配した。社員のプライベートも充実させるために「日本一給料が高く、日本一休みの取れる会社」を目指し、それを実現しつつあった。年に一回の社員旅行にも全社員が参加し、社長とともに時間を過ごすことを楽しんでいた。社長が社員に愛され、社長も社員を愛していた。

「ハピネスな会社」がブラック化する

 しかし、わずか数年で、「ハピネスな会社」が「ブラックな会社」に転落することになる。社長が難病にかかり病気療養を理由に退任し、株主も変わった。株主から送られた新社長は辣腕経営コンサルタントだった。新社長は就任するなり全社員を集め、こう宣言した。

「ビジネスは数字だ。数字こそ結果だ。前社長はいつも夢のようなことばかり言っていたようだが、私は数字の裏付けのないことは信じない。新しい経営手法を導入し、改革を行う」

 経営コンサルタントの新社長から見たら、「なんと曖昧なことで動いている会社だろう」と感じたに違いない。新社長は業務管理やプロジェクト管理、営業管理に最新ITを使ったシステムを導入し、そのシステムによって個人の評価がポイント計算されるようにした。

 新社長はこれを「見える化革命」と呼んでいたが、社員からは数字による管理が始まったとしか思えなかった。新社長は夢を語ったり、大風呂敷を広げることもなかった。売り上げ目標を明確にし、それをどこまで達成したかを重要視し、社員には個別に目標数値を与えて叱咤激励していた。目標達成にほど遠い場合、「結果を出すのがプロだ。残業してでも達成しろ」とプレッシャーを与え続けた。

「まったく別の会社になってしまった」と社員が嘆くようになり、優秀な社員から会社を辞め始めた。残った人は、「会社に魂を売った」と揶揄されるほどだった。目をキラキラさせていた社員はもういない。数字に追われて鬱病になる社員も出てくるようになった。中には過労で亡くなった人もいる。もはや、どこからどうみても「ブラックな会社」である。

 今では全盛期の3分の1まで売り上げが落ち、社長もクビになり、会社はますます迷走している。夢に満ちた会社は、事実上もう消えてしまった。

「ハピネスな会社」と「ブラック企業」の違い

 この天国と地獄を経験した会社の事例をみれば、「ハピネスな会社」には何が必要かわかるだろう。筆者は次の3つの要件が最低限必要だと断言する。

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