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碓井広義「ひとことでは言えない」(2月26日)

『ミタ』『最高の離婚』『半沢直樹』…今期ドラマは、各局ヒット作スタッフ再結集での勝負

文=碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授

『流星ワゴン』

 脚本の八津弘幸氏、演出の福澤克雄氏、プロデューサーの伊與田英徳氏と並べば、『半沢直樹』『ルーズヴェルト・ゲーム』(共にTBS系)を手がけた剛腕トリオだ。そこに西島秀俊香川照之という『ダブルフェイス』『MOZU』(同)の強力コンビが加わった。『流星ワゴン』(同)は、ドラマ好きにとって見逃せない1本となっている。

 主人公の永田一雄(西島)は、最低の状況にあった。仕事ではリストラに遭い、息子は家庭内暴力を振るい、妻(井川遥)からは離婚届を突きつけられる。そんな中、ふと乗り込んだ不思議なワゴン車で過去へ向かうことになる。人生の分岐点に戻り、未来のために“修正”しようというのだ。しかも、同伴者は若き日の父・忠雄(香川)である。

 後に、確執が続くことになる父との二人三脚で、一雄は自分が知らなかった過去の事実や、父の意外な側面を垣間見る。同時に、息子の気持ちをわかっていなかった自分にも気づいていく。しかし、過去を変えるのは容易なことではない。

 また、ワゴンを運転する橋本(吉岡秀隆)も気になる存在だ。彼は、自分が起こした交通事故で幼い息子を死なせてしまった過去を持つが、抱えているのはそれだけではない。このドラマは、そんな3組の“親子再生物語”なのだ。

 西島と香川が向き合う場面は、やはり見ごたえがある。特に、香川が演じるアクの強い“昭和のオヤジ”は、余人をもって代え難い。SF風の設定には抵抗があるという人も、一見の価値は十分にあるだろう。
(文=碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授)

碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授

碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授

1955(昭和30)年、長野県生まれ。メディア文化評論家。2020(令和2)年3月まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。慶應義塾大学法学部政治学科卒。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年、テレビマンユニオンに参加、以後20年間ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に『人間ドキュメント 夏目雅子物語』など。著書に『テレビの教科書』、『ドラマへの遺言』(倉本聰との共著)など、編著に『倉本聰の言葉――ドラマの中の名言』がある。

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