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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べれば良いのか」

死に至るノロウイルスの恐怖 ふん便や空気、あらゆる食品から感染 毎年370万人感染

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト
死に至るノロウイルスの恐怖 ふん便や空気、あらゆる食品から感染 毎年370万人感染の画像1「ノロウイルスに関するQ&A」(「厚生労働省HP」より)

●見過ごされたノロウイルス集団食中毒多発

 今年に入り、相次ぐ食品への異物混入事件や過激派組織「イスラム国」(IS)による日本人人質事件報道が過熱する中、実は全国的にノロウイルスによる集団食中毒事件が多発していた。

(1)三重県松阪市の回転寿司店で患者28人(今年1月6日。寿司)
(2)大阪府吹田市の市立中学校6校で生徒・教職員患者78人(1月23日。業者の弁当)
(3)東京都墨田区の明治22年創業の老舗割烹で患者60人(1月27日。カキ酢やマグロ刺身などの懐石料理)
(4)神奈川県藤沢市のレストランで患者12人(1月27日。生ガキやサーモンマリネなど)
(5)東京都江東区の会社の社員食堂で社員患者53人(2月5日。鮮魚店で調理した刺身盛り合わせ)
(6)宮城県松島町の「松島復興・感謝かき祭り」で患者42人(2月6日。焼きガキやカキ鍋)
(7)東京都台東区の老舗菓子店運営の飲食店で患者88人(2月10日。店の料理)
(8)山形県金山町のラーメン店で患者10人(2月18日。味噌ラーメンや唐揚げ定食)
(9)東京都東大和市のワタミグループ運営の有料老人ホームで入居者患者16人。うち84歳男性が吐いた物を気管に詰まらせて死亡。他に施設職員8 人と入居者 5人が二次感染(2月19日。施設内調理の食事)

●食中毒原因のナンバーワン

 食中毒の原因といえば、つい生卵のサルモネラ菌や腸管出血性大腸菌(O157)などを思い浮かべるが、実は原因別の患者数ナンバーワンはノロウイルスだ。確定値が発表【編注1】されている2013年の場合、年間の食中毒患者総数2万802人のうちノロウイルス患者は1万2672人で、全体の6割強を占める。それもノロウイルスは、特に冬に大規模な集団食中毒を起こしやすいというから注意が必要だ。

 なぜノロウイルスの患者は多いのか。それは、1つには人がノロウイルスに寄生されるほぼ唯一の宿主(しゅくしゅ)という点にあるようだ。もともとノロウイルスを含めてウイルスは生物と無生物との中間物だという。生物は自ら細胞を分裂させて増殖するのに対し、ウイルスには遺伝子はあっても細胞がなく、ウイルスは自分ひとりでは増殖できない。

 そこで、ウイルスは宿主と呼ばれる他の生物の細胞に寄生して増殖する。これは、いわば他人の家に下宿して出産するようなものだ。ウイルスは宿主に寄生している間だけ生物で、それ以外は無生物状態ということになる。これまで近縁の牛や豚のノロウイルスも見つかっているが、これらが人に感染したとの報告はない【編注2】。

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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