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ギャルブームは終焉なんかしていない!?白、清楚…復刊「小悪魔ageha」は時代遅れ?

文=編集部
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ギャルブームは終焉なんかしていない!?白、清楚…復刊「小悪魔ageha」は時代遅れ?の画像1「小悪魔agehaメモリアルBOOK」(主婦の友社)
 人気キャバ嬢らが読者モデルを務め一世風靡したギャルファッション誌「小悪魔ageha」が、4月18日に定期復刊することが発表された。同誌は発行元だったインフォレストの倒産により2014年5月号をもって休刊していたが、同年12月には発行元を主婦の友社に変え、「小悪魔agehaメモリアルBOOK」として1号限定復刊。そして今回、さらに出版社をネコ・パブリッシングに変更して復刊することが決定したという。

 当面は隔月刊行し、収益面で軌道に乗れば月刊化もするということだが、果たして再びギャル雑誌を牽引するほどのムーブメントを起こすことはできるのだろうか?

ギャル雑誌はオワコン?

 10年以上前からギャルファッション誌やギャル男ファッション誌に携わるライター、昌谷大介氏は首を横に振る。

「率直に言って、往時の勢いを取り戻すことはかなり難しいでしょう。『小悪魔ageha』は全盛期に30万部を超える大ヒット雑誌でしたが、その当時の盛り上がりを期待するのは酷というものです。1999年には発行部数50万部を誇っていたギャル雑誌の雄『egg』(大洋図書)が昨年、19年の歴史に幕を下ろして休刊したのを筆頭に、『EDGE STYLE』(双葉社)、『Happie nuts』(インフォレスト)、『BLENDA』(角川春樹事務所)といった主要ギャル雑誌が相次いで休刊になったことは記憶に新しいところです。また、意外と知られていませんが、ギャル誌の中でも派手系モデルが多かった『Ranzuki』(ぶんか社)は、実は一昨年の後半に清楚系というか甘めガールといったモデルたちに一新する大幅リニューアルを遂げており、すでにギャル誌ではなくなっています。『Popteen』(角川春樹事務所)や『JELLY』(ぶんか社)はまだ健闘していますが、やはり最盛期より明らかに部数は落ちていますし、誌面に登場するモデルもファッションもギャル度を下げている状態です。要するに、すでにギャルファッション誌は“オワコン”(終わったコンテンツ)に近い状態であることは否めず、個人的な本音では『小悪魔ageha』には奮闘してもらいたいですが、市場は冷え切っていると言わざるを得ません」(昌谷氏)

 だが、ファッション誌に限らず、一度休刊した雑誌が定期刊行物として復刊するのは極めて珍しいケース。「小悪魔ageha」を引き受けたネコ・パブリッシングにしても、それなりの勝算があってのこととも思える。

「昨年12月に限定復刊させた際の『小悪魔agehaメモリアルBOOK』はそこそこ売れたため、まだビジネスとしての旨味があるかもしれないという判断だとは思います。ただ、出版不況の昨今、隔月刊行の雑誌はいつ休刊になってもおかしくありません。軌道に乗れば月刊化も視野に入れているようですが、逆に言えば3号ぐらい出してみて軌道に乗らなければ再び休刊という可能性も十分にあるわけです。どのような誌面づくりをするかは実際に発売されたものを見てみないとなんとも言えませんが、『小悪魔ageha』全盛期に流行っていたキャバ嬢たちの盛りヘアは、今のキャバ嬢たちには“ダサい”と認識されてしまっていますしね」(同)

 確かに、編集部で現役キャバ嬢にアンケートを取ったところ、以下のように否定的な声が多かった。

「ぶっちゃけage嬢(『小悪魔ageha』モデルなどの総称)は一昔前って感じで、真似たいとかは思わない」(21歳/キャバ嬢歴2年)
「昔はやってたけど、髪を盛るのには時間かかるから、今はいちいちやってられないかな」(25歳/同7年)
「『小悪魔ageha』に出ていたモデルさんたちのように、超キレイになって、超稼いで、たくさんブランド物買いたい……みたいな向上心が、そもそも私にはないです」(21歳/同半年)

「もちろん復活する『小悪魔ageha』ではそのあたりも軌道修正して、今のキャバ嬢さんたちに受けるファッションやヘアスタイル、メイクを提案していくと思われますが、現在のトレンドはヘアもメイクも同誌ブーム当時に比べるとずいぶんとナチュラルなものになっています。それは客の指名を集める人気キャバ嬢さんほど顕著で、ギャル系テイストを残しながらヘアはあまり盛らずに、メイクも派手にしないというところがポイントになっています。つまり、今のトレンドに合わせるということは“『小悪魔ageha』らしさを弱める”ということとイコールとも言えます。時代に合わせて雑誌のスタイルを変えていくのもビジネスとして考えれば必要な判断ですが、アイデンティティを失うことになりかねません。また、単純に今のギャルモデルたちに、かつてのようなカリスマ性や求心力がなくなってきているという一面もあると思います」(昌谷氏)

黒ギャルは絶滅寸前

 とはいえ、「小悪魔ageha」が再び月刊化するまでの道のりは険しそうだが、それはギャルファッション誌に限らず、雑誌という“紙の刊行物”であればどこも苦境であることは似たようなもの。

 昨年のギャルファッション誌の休刊ラッシュを受け「ギャルカルチャーの終焉」などと叫ばれたが、雑誌というメディアの弱体化というファクターも多分に加わっていたため、一概に「ギャルカルチャーは終わった」とは言えないのではないだろうか。引き続き昌谷氏に、ギャルカルチャーとそれに付随するギャルマーケットの将来性を聞いた。

「ギャルカルチャーが再び勢いを取り戻すことは厳しい状況といえます。ギャル文化が一番盛り上がっていた頃の象徴として“ガングロギャル”や“ヤマンバ”を思い出す人も多いでしょうが、今は肌を真っ黒に焼いて“強め”なファッションとメイクを貫き通しているギャルは本当にほんの一握り。ギャルと呼ばれるジャンルの女の子たちも、ほとんどが日焼けサロンなんて一切通わない白ギャルですし、メイクもかなりナチュラルになってきています。また、ギャルたちのファッションも、いわゆる原宿系のファッションとボーダーレスになってきているというか、原宿系のテイストに吸収されていっている印象が強いですね。キャバ嬢さんたちがおとなしめになっているのと同様、街にいるギャルたちも“渋谷ギャル”としてのアイデンティティを失い、清楚な雰囲気にスライドしています。

 ギャルの定義は時代によって移り変わってきているので厳密に線引きをすることはできませんが、仮に“黒肌で派手なファッションとヘアとメイク”をしている女の子をギャルとするならば、ほぼ絶滅している状態といっても過言ではありません。しかし今現在では“白肌で多少派手なファッションとヘアとメイク”の子でもギャルというカテゴリーに入れる傾向にありますので、そういう子も含めたギャルカルチャーと考えれば、辛うじてまだマーケットとして価値はあるといえますし、何年後かにまたギャルブームが到来する可能性も否定はできません」(同)

ギャルブーム再来の条件

 では、どういった条件が整えば、ギャルブームは再来するのだろう?

「簡潔に言うならば、今の若い女の子たちを惹き付けるカリスマギャルが複数人登場することが最低限の条件でしょう。“ガングロギャル”“ヤマンバ”と呼ばれていた以前のギャルたちは良くも悪くもエネルギッシュな存在でしたよね。例えば、渋谷の宮下公園で野宿したりして何日もお風呂に入っていなかったり、たくさんの男と関係を持つギャルのほうがヒエラルキー上位ということもありました。また、中年男性と交際してお小遣いを受け取りハイブランドのバッグを買うというのも、当時のギャルたちにとってはある種の武勇伝だったのです。つまり、どれだけ破天荒な振る舞いをして、どれだけ目立てるかが彼女たちのステータスだったと。そういった奔放さやカネに貪欲な姿勢といった部分もギャルを構成する重要な要素の一部であり、圧倒的なインパクトのある存在感があったからこそ日本中から注目を集め、一定数の同世代の若者から憧れられる象徴となっていたのは事実なのです」(同)

 昌谷氏によれば、ガングロギャルになっていたような層はヤンキー気質を多分に持ち合わせており、時代が時代なら暴走族のレディースになっていたのではないかというような子も多かったという。

「ですが、今の10代の女の子たちは下手に目立とうとは思わない、友達と横並びでかまわないというマインドが強いように思います。そういう子たちにとってみれば、肌を真っ黒に焼き、派手なメイクやファッションにすることに意味がない、価値がないということになるんでしょう。そんな世代の女の子たちの心を突き動かすほどの圧倒的な存在感があるカリスマギャルの存在が、ブーム再来には必要不可欠です。憧れる存在たり得る独創性のあるファッションやヘアメイク、そして多少アウトローの香りもするほどの強いバイタリティー、それらを兼ね備えている子が何人か現れれば、再びギャルが10代女子の目指すべき存在となれるのではと思います」(同)

 とある土曜日の午後、渋谷の街でギャルが出没しそうなエリアを小一時間リサーチしてみたが、かつてのブームを彷彿させるようなギャルに遭遇することはできなかった。10年ほど前であれば、スクランブル交差点や109前、そしてセンター街などの周辺には地べたに座ったギャルの集団が当たり前のようにいたのだが、今はその姿は皆無。

 かつてのギャルたちにとっては、他人よりいかに目立つ姿で渋谷に行って注目を集め、街中でギャル友達をつくり“渋谷の人間”となっていくことが一種のステータスだったが、SNS時代の現在はギャル系の女の子であってもTwitterやInstagramのフォロワー数の多さがステータスに移り変わっており、わざわざ渋谷に足を運ぶ必要もなくなったという側面もあるのかもしれない。だが、ギャルの聖地だった渋谷からもギャルの姿がほぼ消えているというのは事実であり、ギャル人口が激減しているというのも事実であろう。

 再びギャルカルチャーが日本中に話題を振りまくほどのムーブメントを巻き起こし、ギャルであふれ返った渋谷を見てみたいものである。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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